思うこと
私の2014年
今年も後10日余りになった。妻が不治の病で亡くなってから丸6年が過ぎた。毎年、年の初めには今年こそは家内の遺品や自分の書斎を整理しようと思うのだが、いまだに何も手をつけれないでいる。外国旅行はすべて妻も一緒であったが、国内旅行は殆ど連れて歩かなかったので、老後は一緒に国内旅行に行こうと思っていた矢先、病魔に取り憑かれてしまったのが心残りである。北米、カナダ、ニュージーランド、スエーデン、ロンドンなど、一緒に旅した場所が放映されるテレビ番組は録画し、時折観て懐かしんでいる。私は来年の3月に満83歳になる。親しかった友も殆どこの世を去ってしまい、亡妻の遺品や自分の身の回りのものの整理も急がなければならないのだが。平成22年3月に自分の不注意が原因で心原性脳梗塞を発症し、2週間入院した。しかし、奇跡的に後遺症もなく、退院後も洗濯、掃除、身の回りのこと、畑仕事、「菅江真澄と鉱山」の学習や、鉱業博物館のボランティヤも続けている。学習やボランティヤは、いずれも自分が32年前に開発・製作し、後年NDBSと名付けたリレーショナルデーターベースシステムを使用しているので、ストレスもなく生き甲斐にもなっている。問題は健康状態であるが、これには全く自信がない。がん体質なのか、胃、大腸、皮膚など、ところ嫌わずポリープが発生する。不整脈、高血圧、前立腺肥大などの持病もあり、毎月のように病院通いが欠かせない。歯の不養生も万病のもとなので、歯科にもほぼ毎週のように通院している。お陰で今年も名医の先生方に守られて歳を越せそうである。とくに嬉しかったことは、心原性脳梗塞を発症以来服用している、血液をさらさらにするためのワーファリンという薬が、プレザキサという薬になったことで、薬価は10倍以上になったが、食べ物の制限が無くなり、4年半ぶりで納豆を食べられて嬉しかった。私は24年前に、大腸がん治療の名医であられる工藤進英先生に直腸のポリープを発見され、半年したらまた調べましょうと言われていながら4年も放置してしまった結果、大きな悪性腫瘍になってしまい、阪神淡路大震災の日に工藤先生に開腹手術して頂いて治癒した。早期発見・早期処置がいかに大事かを、身にしみて思い知らせれたことであった。それからは毎年大腸の内視鏡検査を受けている。数年前からまた大腸にポリープが工藤先生によって検知されたがたが、ワーファリンを服用していため通院では切除してもらえなかった。しかし、今年はプレザキサを手術の二日前から止めれば良いということで、工藤先生に2個のポリープを切除して頂いた。工藤進英先生は今や大腸がんでは世界的な名医であられるが、ご出身が秋田ということもあって、土日祭日には横浜から秋田に来られ、希望すればどなたでも先生自ら内視鏡検査と処置をして下さる。深く頭の下がる思いである。ところで来年の目標であるが、健康が許せば誰かの役に立つことを優先し、余力があれば亡妻や自分のものの後始末をしたいと考えている。先々月、学生時代の恩師のお一人である、故・能登文敏先生の奥様に呼ばれ、能登先生の遺品の始末について相談を受けた。能登先ご夫妻にはお子様が居られないので、遺品は電子データにして公開してから処分されたらと提案した。私が「菅江真澄と鉱山」の学習を始めたのは8年前であるが、学習の過程で、秋田県の地理学者であられた故・斎藤實則博士の著書「秋田鉱山盛衰記」など、秋田県の鉱山関係の多数の著書を参考にさせて頂いた。斎藤實則先生は4年前に亡くなられたが、斎藤先生のご家族から斎藤先生の生涯と研究業績をホームページとして公開したいと相談され、ご家族と共同で制作をし、斎藤先生の一周忌に
公開
することができた。能登先生の場合も同じ形式で公開されたらと提案し、能登先生が秋田電算機専門学校校長をされていたときに先生にお仕えしていた、私の教え子のT君と作業を進めている。ところで、この「思うこと」のコラムであるが、今月号で一旦休止したと思っている。理由はこのコラムを毎月転載してくれている月刊新聞「鰰」が来年1月から当分休刊されることになったからである。月刊新聞「鰰」は、高校が私より1年後輩の三浦久さん(千葉県在住)が、首都圏に在住している秋田市立高校・秋田中央高校の卒業生のために、母校や秋田県のニュースを紹介しているものである。今月号で228号となるので20年近く続けられたことになる。三浦さん、長い間本当にご苦労様でした。. 19,2014
成田裕一
老人から見たICT2014年
2014年もICT(情報通信技術)はいろんな話題を提供した。
スマートフォン
は、とくに若年層には最早必需品ともいわれるほどの普及を示している。性能は向上し通信料金も低下傾向を示している、インターネットに接続し放題でも、月の利用料金は6千何円程度から3千円程度まで下がりつつある。その利用目的も、若年層では、ラインと言われるソフトを使った無料通話価や、
フェースブック
という仕組みを使った通話やメール機能を駆使出来る人との交流、いわゆる
SNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やゲームソフトの利用が多い。
SNS
は仲間と無料で交流できる反面、いじめなどの人間関係のトラブルの原因になったり、中・高生の利用では学業時間を減少させている問題も指摘されている。
スマートフォン
は超小型コンピュータの機能もあることから、各種支払いや交通機関で乗車券の役目も果たして居り、外出先でのビジネスでは欠かせない存在になっている。今年話題になつた
ウェアラブル端末
(本稿2月号に紹介)も、来年には実用化が進み、人間の目、耳、体の動きなどの情報も即
スマートフォン
に自動的に取り込まれ、認知症対策にも利用されていくであろう。しかし、老人では通話とメール専用のガラケイと言われる携帯電話の所有率は高くなったが、
スマートフォン
を所有している人は少ない。私の場合は、
SNS
もゲームもしないし、使えるアプリ(ソフトウェア)がないので使用していない。老人が
スマートフォン
を利用しない理由の一つには、画面サイズが小さので標示文字が小さく、視力の低下や老眼のため、文字の解読が困難であることがあげられる。それでは、画面サイズが
スマートフォン
より3倍以上大きい
タブレットコンピューター
ということになるが、これも2014年には高性能化と低価格化が進んだ。基本ソフト(
OS
)に何を使っているかによって、ios(iPad用)、Android、Windows用と3種類あるが、Android を搭載したものでは本体価格が2万円を切るものも発売されている。私の場合は、通院や日帰り旅行で用途がネット閲覧、メール、
GPS
での道案内が主目的なので、iPad2(
OS
は
ios8.0
、画面サイズ9.7インチ、重さ613g) か、東芝 Dynabook tab(
Windows 8.1
、8インチ、385g) を、鉱業博物館の標本データーベースの保守や県立博物館での「菅江真澄と鉱山」のデーターベースの作成のときは、自分が
Windows
で作成したソフトを使用するので、ソニーのVio12(
Windows8.1
、11.6インチ、1290g)を愛用している。Nov. 19,2014
成田裕一
横手市探訪
平成26年10月4日、
北光会
(秋田鉱山専門学校、秋田大学鉱山学部、工学・資源学部、そして現在は理工学部と国際資源学部の同窓会)秋田支部の定例行事として、横手・湯沢地区を探訪した。9時28分に横手駅に着き、迎えに来てくれた横手・湯沢地区の北光会会員の車に分乗した一行20名は、最初に秋田県指定有形文化財で昔は外人教師の宿舎であった
「日新館」
を見学した。現在の所有者の鶴岡章さんは東京ロマンチカの鶴岡正義さんの親族だそうである。私が北炭の万字炭鉱に勤務していたときの先輩に、鶴岡博さんという方が居って私の息子の名付け親になってくれたが、この方は東京ロマンチカの鶴岡正義の叔父さんであった。この後、横手公園、山と川の街を一望できる
横手城
、
石坂洋次郎記念館
を見学した。料理屋「豊川」で豪華な昼食を頂いた。料理の最後に稲庭うどんのつけ麺が出されたが、とても腰が強く美味であった。このうどんは午後の最初の見学場所である
眞壁屋
うどん工場で作られたものである。案内してくれた常務の眞壁晃さんは秋田大学鉱山学部燃料化学科卒業、同学部資源化学科修士を修了し富士通研究所に入社し海外にも研究留学して活躍されたが、家業を継ぐため横手に帰って来られた。平成14年には工学博士を取得された。第25回日本イオン交換研究発表会の特別講演で、
「秋田 真壁屋のうどん」小麦粉、水、塩の研究に基づく手作りうどん のテーマ
で講演されている。長年に亘る粉体工学や表面工学の研究成果を生かしたもので、大きい粒子と小さい粒子を組み合わせたもので、ゆでる温度に大きく影響されない、つるつるしこしこした食感を持つ。私も帰り際に買い求めた。つけ麺でも、カルボナーラでも大変美味であった。正に
工学博士が作った傑作
とも言えるものであった。関心のある方は
「眞壁屋うどんのホームページ」
をご覧下さい。この後
淺舞酒造
に連れていって頂いた。醸造に使用している清水の管理、製造過程には社長の柿崎常樹さんが教育学部出身ながら、電子回路とスマートフォンを組み合わせてセンサーを手作りし、温度や湿度を厳密に管理していた。数々の賞を受けている銘酒を試飲させて頂き、大変美味しかったので
「純米酒、天の戸」
買い求めた。眞壁屋うどんや淺舞酒造など、研究熱心な若手経営者に接し、秋田の食文化が継承されていく姿に接することができた有意義な一日であった。私個人としても、横手は大学電気科の同期の友人4人(内3人は他界)の出身地であり、亡き家内とも何度も訪れたことがあったので、亡き友人や家内を偲ぶ旅でもあった。Dec. 19,2014
成田裕一
パソコンは私の健康の友
パソコンが世に出た頃から現在にいたるまで、私にとってパソコンの利用は自分の生き甲斐に大きな部分を占めてきた。秋田大学を定年になる前の10年間は付き合いのため飲酒量も多く、生活習慣も悪かった。情報工学科の設立や博士課程の設立準備、自分の研究、修士や博士課程の研究指導などの他、会議などでは人間関係のストレスが特に多かった。そんなとき、共同研究をしていた当時の秋田赤十字病院院長の竹本吉夫先生(故人)の勧めで大腸の内視鏡検査を受けた。検査をしてくれた医師は、今や大腸癌の世界的権威者として知られている工藤進英先生であった。数ミリのポリープが発見され、工藤先生は半年経たらもう一度調べましょうと言ってくれたのに、私は3年も放置してしまった。再検査してくれたときは2センチの立派な悪性直腸がんに成長していた。手術は阪神淡路地震があった1995年1月17日にして頂いたが、執刀医も工藤先生であった。術後は病室にパソコンを持ち込み、学生を呼んで卒業論文や修士論文の作成指導をした。当時の大腸がんの手術は開腹手術が殆どであったため、術後1週間は激しい痛みを伴ったが、不思議とキーボードに向かっている間は痛みを忘れていた。当時は、術後4週間の入院が普通であったが2週間で退院させて頂き、この年の夏にカナダのバンクーバーで行われた医療情報国際会議で発表した。定年後は、聖霊女子短期大学が情報処理技術教育を始めたいということで、情報処理設備の充実、教員の情報処理研究の指導、学生の情報処理技術教育に携わった。その準備のため、家でもパソコンで作業をしていた。折角定年になったのに、家内には申し訳ないという気持ちであった。料理上手でビールの好きな家内との夕食は、二時間を超えることがしばしばであったが、それでも私は食卓にノートパソコンを持ち込み、テレビに二人とも名前を思い出せない俳優やタレントが出ると、ネットに繋いだパソコンでその人の出演映画などから検索して探し当てた。お互いのボケ防止に貢献できたと思っている。私は音楽はクラシック、ジャズから、演歌にいたるまで何でも聴くのが好きであるが、家内が6年前に膵臓癌でなくなってからは演歌しか聴く気にならなくなった。4年前に散歩の途中、不整脈が原因で心原性脳梗塞を突然発症して眼が正しく見えなくなり、娘夫婦に秋田県立脳血管センターに運ばれ、2週間ほど入院したことがある。前頭葉の視覚野が大きく損傷していたが、そこは悩の中の未使用領域だったそうで、翌朝には眼が正しく見えるようになり、脳機能も運動機能などの後遺症は全く無かった。ICUから出て個室に入れて貰い、早朝から消灯までバソコンに向った。主治医に「普段長時間パソコンを使っているから悩の血流が良いと思われるので、未使用領域以外は損傷を受けなかったのでしょうか」と偉そうなことを言ったが「そんなことはありません」と諫められた。私は60代半ばから血圧が高くなり、下は60前後と低いが、上は160を超えることもしばしばである。しかし、長時間散歩をしたり畑仕事をした後と、数時間パソコンで「秋田大学鉱業博物館の標本データベース処理」をしたり、「菅江真澄と鉱山」の学習やデータ入力作業をした後は、決まって上が130台に下がるのである。私は長い入院に備えて300曲くらいのクラシック、ジャズ、演歌などの曲のCDやDVDを購入し所有しているが、夜、数時間パソコン作業をした後は、これらの曲をパソコンで聴きながら眠りに就くのが毎日の日課である。Sept. 19,2014
成田裕一
ビッグデータとスモールデータに思う(その二)
前回は
ビッグデータ
について述べたが、今回は
スモールデータ
について述べてみよう。
ビッグデータ
とは、複数の機関が所有しているデータを集め、それぞれの機関の戦略のために活用されるものであるが、
スモールデータ
は個個の機関や、個人が所有しているデータと考えて良い。
スモールデータ
の作成あるいは取得は、多くは個個の機関や個人自らが行っているが、
ビッグデータ
の中から、自分の機関の戦略に必要なものだけを抽出したものを購入する場合もある。入手方法はどうあれ、
スモールデータ
はデータ処理や活用を、自分の機関で考えて行わなければならい。
ビッグデータ
と違って、
スモールデータ
の処理や活用はそれ程難しいものではない。例として私個人の場合を紹介しよう。私が現在利用しているものは、私個人が交流していいる方々の名簿、日記、医療記録、「菅江真澄と鉱山」の記録、出身高校の同窓会名簿(記録人数は物故者も含めて26,583人)、秋田大学鉱業博物館の標本データーベース(標本数は19,702点)などである。出身大学の同窓会名簿も、私が秋田大学を定年退職するまでは勤務時間外に私が保守管理をしていた。個人や中小規模のコンビュータユーザーがデータ処理に利用するソフトウェアは、マイクロソフト社の
Excel
や
Accsess
(いずれも有料)が多いが、私の場合は1982年に自ら設計・制作したデーターベース管理ソフト
NDBS
を現在も使用している。用途は違っても、道具は変わらない。車のエンジンに例えれば、市販のデーターベース管理ソフトが大型バスのエンジンとすれば、
NDBS
は小型バイクのエンジンというところか。
NDBS
は稚拙な仕組みの道具ではあるが、多くの
スモールデータ
の処理には十分な道具である。私の出身大学の同窓会の例をあげれば、私は定年になる日までの25年間、
NDBS
を使って会員データの記録、会報発送業務の他、卒業生の学科別、卒業年別の実勢情報や会費納入率を作成し、会報や総会で会員に公開したきた。しかし、私の定年と同時にデーターベース管理ソフトを市販の高性能のものにに変えてしまったが、私がしてきたような緻密で戦略的な作業には利用しなくなった。それ以降、同窓会の会費納入率は年年低下し、財政状態は極度に悪化している。不況や同窓会意識の低下という時代のせいもあるが、連絡可能な全会員に会費納入状況の詳細を知らせなくなったことも一因と考えられる。
スモールデータ
の処理や利用にあたって最も大事なことは、道具の善し悪しよりも、どのような目的をもってどのような成果をあげるかを真剣に考え、実践しつづけなければならないことである。(Aug. 19,2014
成田裕一
)
ビッグデータとスモールデータに思う(その一)
ビッグデータ
は最近よく聞く言葉であるが、
スモールデータ
という言葉はあまり聞くことはない。私が勝手に定義している言葉である。
ビッグデータ
とは、ある機関が、複数の機関が所有しているデータを集めて、統計処理をはじめとする高度な分析を行い、その機関の経営戦略に活用させるための巨大なデータのことである。例えば、飲料を製造・販売をしているA社と、食品を製造・販売をしているB社が提携して、お互いが抱えている顧客の個人情報を含むデータを統合して共有し、お互いの経営戦略に活用しいる場合などである。A社とB社が対等な立場であれば、データの統合、共有にあたって、それぞれの顧客に事前に説明と了解をして貰うこともあるが、B社がA社に吸収合併される場合は、A社はB社の顧客に対して了解なしにデータの統合・共有が行われる場合もある。吸収合併されない場合でも、利害が相反しない複数の企業が、お互いが所有している業務データや顧客データを集合し、自社の経営戦略に活用している場合もある。では、顧客データはどのようにして集められるのであろあか。一例として、多くの顧客サービスを行っている企業で
ポイント制度
を採用している場合を考えてみよう。顧客の多くは貯まった
ポイント
が還元されることを期待して、
ポイントカード
を所有することになり、個人情報を提供してしまうことになる。しかし、
ポイント制度
を採用している店で、店側は買い物が済んだ顧客に対して
「ポイントカードをお持ちですか」
とは言うが、支払いの際
「お客様のポインは・・ポイントありますが支払いに使われますか」
と言われることは殆ど無い。
ポイント制度
は顧客の消費情報を集めるための手段なのかと思ってしまう。顧客から収集したデータは企業間の合併や連携によって巨大な情報量になる。これも
ビッグデータ
の一種である。この
ビッグデータ
の多くは、
クラウド
と呼ばれる超大型コンビュータに預けられる。
クラウド
は大規模情報処理専門業者によって処理とサービスが行われることが多い。これらの大規模情報処理専門業者は一般に信頼性の高い業者であるが、この
ビッグデータ
を利用する企業が、そのデータを活用するための処理を、下請けの情報処理業者に処理委託をさせることが多い。今月、下請けの情報処理業者の
SE
が、教育産業が所有している子供の個人情報を、名簿業者や、教育関連業者に売り、一千万人を超えると言われる個人情報が流出するという大事件が起こった。実際に処理業務を行うのは
システムエンジニア(SE)
と呼ばれる
生身の人間
なので、
SE
には高い処理能力に加えて高い道徳性が求められなければならない。
SE
のみならず、処理委託を委託している経営者にも、孫請けをしている企業の経営者にも、真っ当な人間としての対応が求められる。次回は、
スモールデータ
の問題点について述べたい。
スモールデータ
とは、企業や機関、あるいは個人が単独で所有しいるデータのことである。(July. 19,2014
成田裕一
)
ノーベル賞受賞者、鈴木章先生のお話を聞いて
平成26年6月7日、札幌ヨサコイ祭に合わせて、北光会(秋田鉱山専門学校、秋田大学鉱山学部、工学資源学部、国際資源学部の同窓会、会長は菊地芳朗氏)総会が札幌市ロイヤルセンチュリーホテルで開催され、北海道内はじめ全国各地から北光会員が集まった。秋田からも多数の会員が出席したが、数組の奥様連れの会員も見られた。私も7年ぶりに新日本海フェリーを利用し、自ら車を運転して参加した。総会の会議終了後の特別講演では、千葉到北光会北海道支部長の計らいで、ノーベル賞受賞者の北海道大学名誉教授、鈴木章先生をお招きしてお話を聴くことができた。鈴木章先生は1930年9月に北海道鵡川町のご出身で83歳になられて居られるが、大変お元気であられた。北海道大学理学部に進学され、最初は数学を学びたかったこと、しかし化学科に進み、博士課程修了後、同大学理学部助手、助教授、教授となられた。化学の勉強に使われた教科書は「Text book 0f Organic Chemistry」0f Organic Chemistry」とう原書だったとのことで、英語にも堪能であったそうである。1963年から3年弱、アメリカ合衆国インディアナ州のパデュー大学のハーバート・ブラウン先生(ノーベル賞受賞者)のもとに留学された。そのとき留学先から頂いた報酬は北大の助教授の4倍であったそうである。留学先では有機ホウ素化合物の研究を行い、このときの研究を基に、カップリング反応の研究を始められ、工業製品から医薬品にいたるまで、その合成・製造技術に多大なる貢献をされた。このご功績に対して2010年にノーベル化学賞を受賞された。鈴木先生は、ご自身の生い立ちに始まって、ノーベル賞を頂くまでの過程や、奥様やご家族のことも含めて、1時間に亘りよどみなく淡々と話された。講演が終わって菊地芳朗北光会長が謝辞を述べた後、今話題になっている小保方さんのスタップ細胞について所見を求めたが、鈴木先生は研究はオリジナリテイが無ければならない、実験計画と実施方法がしっかりとしていて再現性がなければない、というようなことを述べられた。鈴木先生は講演会の後に開催された懇親会にもご出席されたが、大変お酒がお好きだそうで、ビール、日本酒、千葉到北光会北海道支部長が製造し寄付されたワインなども飲まれ、多くの北光会会員と親しく歓談された。(June. 19,2014
成田裕一
)
時計職人になった教え子
昭和45年3月、秋田県北部の鹿角市の出身で、秋田大学鉱山学部で電気工学を学んだ二人の教え子が卒業した。二人とも私の教え子で、優秀な成績であったので就職も内定していた。その内の一人、菅原和男君は内定先の企業に勤務したものの、家業の電気工事会社を継がなればならなくなり、頑張っていたが3年前に病に侵され、65歳で亡くなられた。もう一人の杉江喜一君は、卒業のとき時計業を営む父上が病に倒れたため、家業を継ぐことを決心し、内定していた企業を辞退して、温泉で有名な鹿角市大湯に帰郷し、父上に教えて貰いながら時計職人の修業を始めた。当時はまだ機械式時計のみの時代であり、電気工学を学んだ杉江君は大変苦労されたと思うが、今は優秀な時計職人として家業を継いでいる。この杉江君に時計の修理を御願いするようになってから10年近くなる。私は入浴時を除いて常時腕時計をしている。今、身につけているものはセイコーLM(ロードマチック 23石)というごくありふれた物で、今は亡き父から形見に貰ったものである。機械式の自動巻、長針、短針、秒針がアナログ表示され、曜日と日は文字で表示される、俗に機械式と言われるものである。多分45年くらい前に製造されたものと思われ、父から貰ってから40年近く経っている。機械式自動巻なので、付けている左腕を動かしている限り正常に動作しているが、数年毎に分解掃除・注油をして貰わなければならない。機械式自動巻時計は部品の数が80点近くあり機構が複雑なので、修理や分解掃除は時計職人の手作業でなされる。秋田市でもきちんと修理してくれる職人が少なく困っていた。杉江君は仕事がきわめて丁寧で、入手出来なくなった部品は自ら製作して修理くれる。数年おきに分解掃除を御願いしているので今も正確に作動している。しかし、1964年頃からクオーツ時計が出現し、機械式自動巻時計の需要は急速に減少した。クオーツ時計の内部は水晶振動子、電子回路、モーターと表示部からなるが、多くの部品は量産自動化が容易なので生産コストが低価格である。表示部も、モーターと簡単な駆動機械で3針を駆動し、アナログ表示をさせているので、純機械式なのか、クオーツ式なのかは一見して区別することができない。クオーツ式は電子回路を使用しているので、電波時計の組み込み、前に述べた超小型カメラを組み込み、スマートフォンと連動できるウェアラブル端末にも容易になり得るが、この修理も電気・電子工学を学んだ杉江君にとっては守備範囲である。しかし、私のように純機械式時計に愛着を感じている人も多いと思う。杉江君にはいつまでも元気で、父の形見を面倒見て頂きたいと思っている。読者の方でも時計でお困りの方は遠慮なく杉江喜一君に相談して下さい。(
杉江時計店のホームページは、http://www10.plala.or.jp/clotch/
)。(May. 19,2014
成田裕一
)
上位互換と下位互換について
上位互換
とは、新しい物が、古い物でも使用できる物であることである。また、
下位互換
とは、古い物が、新しい物でも使用できることである。このコラムの昨年の11月号で
「Xpサポート終了に思う」
についても書いたが、日本マイクロソフト社は2014年4月9日、基本プログラム
Windows Xp
のサポート終了を宣言した。このまま
Xp
のパソコンをインターネットに接続したままにした場合は、コンピュータウイルスの侵入の危険が増し、パソコンに記録している情報が盗まれたり、書き換えられたり、あるいは自分のパソコンが攻撃者に占拠されて不正情報の発信の利用されたりする危険があると言われているので、多くの企業や個人が、
WindowsXp
のパソコンを、
Windows 7
や、
Windows 8
のパソコンに替え、大きな出費をさせられている。ところが、折角基本ソフトを新しくしたパソコンにしたのに、今までの
Xp
で使用していたアプリ(利用プログラム)が新しいパソコンで動作しないものもあったと聞いている。つまり上位互換を満たしていないソフトがあり、今までのアブリに手を加えたり、新規にアプリを購入しなければならなくなった知人も居た。マイクロソフト社が利用者のパソコンに対して
上位互換性
を十分な考えないか、あるいは無視して基本ソフトを設計・制作し続けてきたせいなのかも知れない。マイクロソフト社のWindowsパソコンの利点は、プログミニグ技術がそれほど高くない一般のユーザーでもアブリの制作ができることである。私もその一人である。私が秋田県立博物館の「菅江真澄クイズ」、「菅江真澄と鉱山」、秋田大学鉱業博物館の「標本データーベース」、秋田中央高校の「同窓会名簿」などに使用している、データーベースソフト
「NDBS」
は、私が1982年に制作し随時改良を加えて使用してきているが、このソフトの動作はは
Windows95
から
Windows8.1
まで
全く支障なく動作し、古い
NDBS
の操作性や、作成されたデータは新しい
NDBS
でも問題なく利用できるよう
上位互換
を考えて制作している。しかし、マイクロソフト社自身が設計・制作・販売している、データーベースソフトである
ACCSESS
を
Xp
で使用しているユーザーが、
Xp
から
Windows7
のパソコンを替えたところ、これまで使用していた
ACCSESS
のプログラムが正常に動作しなくなったそうだ。このためそのユーザーは、これまで保守を依頼したIT会社に有償で対処して貰ったという。そのユーザーが
Xp
で使用していた
ACCSESS
が古い版であったためのようで、この古い
ACCSESS
が
Windows7
からみて
上位互換
ができていなかったということであった。マイクロソフト社は、以前から基本プログラムの他にワープロソフトや表計算ソフトを、オフィスシリーズとして制作・販売している。オフィスシリーズはこれまでも数年ごとに改訂しているが、その度に使い方が変わってしまい、とまどってしまうユーザーも多い。マイクロソフト社は世界中に最も多くのパソコンに基本ソフトや基本アプリを提供してきたし、これからも提供していくであろうが、その設計と製作にあたっては大変手間暇がかかると思うが、とくに
上位互換
について十分配慮されることを希望したい。Apr. 19,2014
成田裕一
)
コピペに思う
コピペ
とは、
コピー(Copy:複写)と(and)
ペースト
(Past:貼り付け)のことである。コピーしたい文書をパソコンの画面に出し、コピーしたい箇所の左端を押しながら、コピーしたい箇所の最後までなぞらえてからマウスの左釦から指を離し、直ぐマウスの右釦を押すと、画面上に窓が現れ、いくつかの作業名のリスト
(プルダウンメニューという
)が現れる。この中から
コピー
と書かれた所にマウスの先端(
マウスポンター
)を持っていき、マウスの左釦を一回だけ押す(クリックする)。これで、先程押し続けた文字情報がパソコンのメモリに
一時記憶
される。次に
マウスポンター
を、貼り付けたい箇所に持って行き、そこでマウスの右釦をクリックすると、また
プルダウンメニュー
が現れるので、この中から
貼り付け
をクリックすると、先程
一時記憶
された文字列がマウスポンターの右にそっくり貼り付けられる。
画像のコピー&ペースト
もほぼ同じようにできる。文章で書くと長いが、パソコンで作業をしている人であれば日常、無意識にしている簡単な作業である。問題は
コピペ
の対象が他人の著作物であり、その人に無断で行った場合である、学部の大学生が卒業論文を
コピぺ
で作成した場合であれば、学外で発見されることは少ないが、それでもそのようなことが著作権上違法であることを指導教員が厳しく教えておかなければならない。博士課程の学生であれば、学会への論文投稿とか、学会発表もしなければならないので、
コピペ
は論文盗用行為とみなされ、制裁を受けることもあり、指導教授は責任を問われる、
コピペ
などによる論文盗用行為は、当該学生の指導にあたる教授や共同研究者の責任でもあからである。筆者も長い研究生活の中で、頭の良いと言われている教授の中には、いち早く海外の先進的の論文を読み、それを自分の研究室の学生の研究テーマにしていた方も居られたが、私は、自分や学生の研究テーマは常に自分たちが創成したものであった。つまり研究のオリジナリテイを重視してきた。現在一人でやっている
「菅江真澄と鉱山の記録」
は研究と言える程のものではないが、それでも先人の研究成果を参照した場合は、1件25項目の記録項目の中の一つである
「補足項目」
の中に、参照した文献名、著者名、ページ、参照した文などを記録している。大学や研究所で若い研究者を指導されている研究指導者は、
コピペ
の仕方を正しく、かつ厳しく指導して欲しいものである。(March 19,2014
成田裕一
)
ウエアラブル情報機器に思う
小型のコンピュ−タをパソコンを例におおざっぱに表現すると、
CPU
と言われる
中央処理装置
(多くは
マイクロプロセッサ
)、
記憶装置
(多くは半導体のメモリや光磁気記録装置で処理するためのプログラムを内蔵させている)からなる
ハードウェア部分
と、
入出力装置
(情報を入力させるキーボードや情報を出力させる装置で、デイスブレー、プリンタなど)で構成されているものと言える。半導体製造技術の進歩に伴ってコンピュ−タの小型化が進み、携帯電話と同様カメラもついて、大きさも重さもほぼ同じでありながら、小型コンピュータとしての機能をもった
スマートフォン
が普及している。
ウエアラブル(Wearable)情報機器
とは、小型コンピュータをさらに超小型にして、人間の身につけたり、人間の体に埋め込んだりすることが出来るようにしたものである。一昨年、義弟が心臓の疾患でペースメーカーを胸に埋め込んだが、ペースメーカーには
マイクロプロセッサ
が埋め込まれていて、心拍数など心臓関係の状態や機器の状態を24時間計測し、異常があれば、家庭に引いている電話線を通じて管理センターに通知する仕組みになっている。人間の体に埋め込まれていることから、これはまさに
ウエアラブル情報機器
そのものである。一般に利用されるものとしては、米国のグーグル社が開発した
グーグルグラス
や、腕時計に端末機能を付加したものも開発されている。
グーグルグラス
の形状はメガネそのもので、メガネの左右の端に超小型のカメラとマイクロコンピュータを内蔵し、撮影された映像を携帯しているスマートフォンで無線で受信し、リアルタイムでインターネットを送信できるもので、昔のスパイ映画に使われていた超小型カメラそのものである。最近は国産のものも開発されている。グーグルグラスをかけた人の目に入る見たままの映像が、即時にスマートフォンやタブレット端末に記録されるのでプライバシーの侵害も懸念される。他人の容姿をカメラのレンズを向けて無断で撮影する行為は容易に盗撮行為として摘発されてしまうが、
グーグルグラス
の場合はちょっと変わったメガネで見るだけの行為なので、
グーグルグラス
を知っている人でなければ気付かれない場合もあるだろう。私は週に2回程
iPad
やWindows8などのカメラ付きの
タブレット端末
を所持して、電車で秋田市に行くが、乗客に女性が多いこともあり、あらぬ疑いをかけられても困るので、電車では
タブレット端末
は鞄にしまい専ら瞑想している。しかし、
グーグルグラス
はリアルタイムで見た情報を収集できるので多く利用が考えられる。医療現場では外科手術で同じような機能のグラスが実際に使われ、外科医の手術過程を記録ている。これからは介護の現場での利用も考えられる。被介護者に
グーグルグラス
をかけて貰えば被介護者の行動を遠隔観察ができるし、運動機能が衰えた被介護者の手足の関節の補助として
超小型の情報機器で制御されるロボット関節
の実用化も研究されている。生産工場では、作業者や作業ロボットの監視や制御などにに利用されていくであろう。(Feb. 19,2014
成田裕一
)
サイバー攻撃に思う
サイバー攻撃(Cyber attack)
という言葉を聞くことが多くなった。
Cyber
とは人間と機械の融合物という意味であるが、今はインターネットに接続されているコンピュータの情報を盗み出したり、大量の無益な情報を送りつけたり、破壊したりするなど、第三者に何らかの被害を与える行為を言う。現在はあらゆる情報通信がインターネットを利用しているので、個人、企業はもとより、国家間でも他国の情報を盗みだしたり、攻撃したりする例が見られる。つい最近のことであるが、友人のKさんのデスクトップのパソコン(基本ソフトは
Windows7
)がキー入力ができなくなったという相談を受けた。Kさんは
文字入力変換システム
が壊れたことで、アジヤ某国製の
カナ漢字変換システム
をインストールしてしまった。このソフトは、キーから入力した情報は全て即時にインターネットを通じて某国に送られ、日本語のわかる人が解読して、手作業で正しいと思われる日本語に直して送り返すというものらしい。入力したすべての情報が相手に収集されてしまうので、もし企業の技術開発に関したものであれば
技術情報の流出
となってしまう。しかも、このソフトが原因で、Kさんのパソコンは修復不能になってしまった。これも最近の例であるが、インターネットに接続されているコンピュータに不正なプログラムが侵入して正常な操作をできなくさせ、もし直して欲しければ指定した金額を振りこめという攻撃もあるようである。かく言う私にも、昨年の5月から始まった迷惑メール攻撃が、9ヶ月たった今でも続いている。
「30万円をインターネットバンキングで振り込みました」
とか、
「5500万(円とは書いていない
)譲与するので銀行名、口座名を教えて下さい
」とかの迷惑メールである。インターネットバンキングは利用していないが、もし本当であれば億万長者になっていることになる。幸い最近は
プロバイダー
がすべて自動的に振り分けてくれるので、自分のメールフォルダには来なくなった。
プロバイダー
から送られる
迷惑メールフォルダ
を覗くと、毎日60件程度、大晦日も正月三が日も、祝祭休日も休むことなく来る。どうも
自動で送りつけている
と思われる。実害はないものの、
迷惑メールフォルダ
の整理に毎日数分はかかる。
サイバー攻撃
はパソコンをインターネットに繋がなければ受けないので、メールやインターネット検索を行うときだけインターネット接続をしている。LANケーブルを抜き差
しても良いのだが、端子の爪を壊すことがあるので、LANケーブルでは接続していない。私のパソコンには
無線LAN
を内蔵しているので、マウスで簡単に接続と切断ができる。この4月からマイクロソフト社は
WindowsXpのサポートを中止
するということで、
Windows7
や、
Windows8
の購入を考えて居られる方は
無線LAN内蔵のもの
を購入されることをお勧めしたい。(Jan. 19,2014
成田裕一
)
私の2013年
妻がこの世を去って丸五年の月日が過ぎた、寂しい生活を支えてくれたのは市立中学、市立高校、秋田大学同期の古くからの友人達であった。炊事洗濯は苦にならないし、パソコンに向かっている時間が多いことも寂しをまぎらわしてくれた。健康のことも考えて週に3回ほどは散歩もしている。散歩コースは妻が元気であった頃と同じく、小泉潟公園一周のコースで、1時間半くらいの散歩である。一人での散歩は寂しいので、数年前まではICレコーダーに音楽を記録し、イヤホンで聴きながら黙々と歩いていた。3年前の3月には散歩の途中に突然失明し悩研に運ばれ2週間程入院した。不整脈が原因の心原性脳梗塞であった。幸い入院翌日には目も見えるようになり後遺症も無かった。しかし二週間の入院で心身ともに衰弱し、一時は鬱病状態にもなったが、前記中高大学の友人に励まされ、鉱業博物館の標本データーベースの保守や、県立博物館での「菅江真澄と鉱山のデジタル記録」の学習、このコラムの作成も続けている。好奇心はまだまだ旺盛で、毎朝パソコンで日経のICTに関したニュースを閲覧している。散歩も、最近は音楽をリュックの入れiPadで聴きながらしている。今のところ足腰が痛むこともなく、視力も若い頃と変わらないが、悩研での高血圧やPTNR(血液さらさら度)、不整脈のケヤ、工藤胃腸科クリニックでの胃腸のケヤの他に、今年は前立腺肥大を指摘され、秋田市立病院で経過観察をして貰っているなど、年相応の体ではあるが元気で過ごせた一年であった。会議や通院で週に数回は追分駅から秋田駅まで電車に乗るのだが、高校生や若い女性の殆どはスマートフォンを間断なく操作している。スマートフォンは若者達に爆発的に普及しているが、その用途は無料通話用のライン(Line)か、グループ交流用のフェースブック(Facebook)であるが、簡単に友達の友達は友達になってしまって複雑な人間関係を産み、多くの悲しい事件を起こしている。しかし我々の世代ではスマートフォンの所有者は皆無で、携帯電話さえ所有していない人も多い。こんな訳で当分はiPadか、Windows8タブレットパソコンを持ち歩くことになりそうである。今年もあと十日ほどで終わろうとしているが、今年の1月5日、私の生涯で最もお世話なった、中学からの友人である福岡政弘さんを亡くしてしまったことが最大の悲しい出来事であった。また7月は電子工学時代の教え子のO.Aさんが59歳で、今月にはS.H.さんが47歳の若さで、共に愛する家族を残してこの世を去った。心から哀悼の意を表したい。しDec. 19,2013
成田裕一
)
Windows XPサポート終了に思う
日本で多く使われているパソコンは、MicroSoft社の
Windows
といわれるパソコンである。 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどコンピュータ機能のある電子機器には、これらを使用するための基本プログラム(
Operating System:OS
)が組み込まれている。
Windows
のパソコンに組み込まれている
OS
は、1995年の
Windows95
に始まって、
Windows2000
、2001年に
XP
、
ME
、
Vista
、
7
と進化し、昨年には
8
、今年の10月には
8.1
になっている。筆者は現在3台の
Windows
パソコンを所有し、それぞれの
OS
は、
XP
、
7
、
8.1
である。MicroSoft社は、2014年4月に
XPのサポート終了
を決めている。サポート終了とは、インターネットに接続しているパソコンに不正な動作をさせるプログラム(ウィルス)がパソコンに侵入しないように、MicroSoft社が
OS
の弱点を修正してくれなくなることである。ユーザーは、定期的にまたは自動的に、
Windows Update
という作業を行うことにより、
MicroSoft社
から修正された
OS
を組み込むことができ、パソコンを安全に利用できる。そこで対策であるが、使用者の利用形態によって異なる。インターネットに接続しないで、ワープロしか使用していない場合は買い換える必要はない。私が自宅でデータ処理用に使用している
WindowsXP
のデスクトップパソコンは、2001年に購入した
Xp機
で、購入して半年頃に液晶ディスプレイが故障して無償交換した以外、故障もトラブルも全く無い。ただしインターネットに接続しない場合でも、他の人から手に入れたウイルスに感染したUSBメモリを装着した場合は、自分のパソコンに感染し、データの消滅や破壊が起こってしまうこともあるので、他からUSBメモリを持ち込む場合は、最新のウイルス対策ソフトを組み込んであるパソコンで、そのUSBメモリのウイルスチェックをしておこう。この際、新規買い換えを考えている場合は、
Windows8
か
Windows8.1
のパソコンということになる。
Windows8
は、画面に指タッチして操作できるApple社ののタブレット端末
iPad
に対抗して開発されたと言われるが、
iPad
と比較して指タッチ操作がまだ円滑でないので、
Windows8
のパソコンを求めたい場合は、できるだけ遅く買われた方が良い。大型電気店の展示品を見ても、タッチパネル方式の機種は少ない。価格も10万円を超えるものが多い。MicroSoft社は最近
Surface2
というタッチパネル式タブレットパソコンを発表し、価格も5万円以下で買える機種もある。電子メールとインターネット閲覧、SNSの利用だけであれば、
スマートフォン
だけで十分であり。費用も少なくて済む。中古の
Windows7
を考える手もある。
Windows7
は、歴代
Windows
の中で最も安定した
OS
である。筆者が毎日使用している
Windows7機
は2010年に購入したもので、主メモリも2GBしか装備していないが、未だ一度もとらぶったことがない名機である。新規、中古いずれにせよ、現在
XP
で使用しているソフトウェアが利用できるかを検証しておく必要がある。多くの場合問題なく移行できる。移行ソフトも発売されているが、
Xp
導入時にインストールしたソフトウェアのCD-ROMがあれば、
7
にも
8
にも簡単にインストールできる。Nov. 19,2013
成田裕一
)
恋愛とSNS
今年の6月には広島で女性の死体遺棄事件が起き、今月の8日には三鷹市で18歳の女子高校生が刺殺された。いずれも
SNS
(ソーシャルネットワークサービス Social Network Service)が関係している。
SNS
については、昨年の12月と今年の6月と8月に述べたので参考にしていただきたい。広島の事件では、
SNS
で多く用いられる無料通話アプリ(ソフトウエアプログラム)
Line
を介して、恋愛を発端とした歪んだ人間関係を産みだし、悲惨な結果を招いた。また、三鷹の事件では加害者の男性と被害者の女子校生が、事件の2年前に
SNS
の一つである
フェースブック
で知り合って交際をしていたということだが、被害者となった女子校生が芸能界での活躍を夢見るようになり、加害者の男性との交際を絶ち切ったことに男性が恨みを持つようになって、ストーカー行為を繰り返すようになり、それがエスカレートして犯行に至ったと聞いている。スマートフォンの急速な普及もあって、
フェースブック
は現在10代から40代まで世界中多くのの人々が利用している。
SNS
の中でも、
ツイッター
などは仮名で加入と利用が可能であるが、
フェースブック
の場合は実名で登録する。したがって、
フェースブック
は、共通の利用目的を持つ、信頼のおける人同士が加入し、交流すべきものであり、男女の出逢いのために利用されることは好ましくない。
SNS
であるから一度書き込んだ(
アップロー
ドした)会話、文、写真、動画は即時にインターネット上に広がり、これらの情報を完全に削除することは不可能である。
SNS
の主催者に、加害者や被害者が
アップロード
した、楽しかった二人の蜜月の情報の削除を依頼したとしても、削除される前に二人の画像や動画を見た第三者が、これらを自分のパソコンに保存してしまってたものは削除がきわめて困難となる。削除されなかった情報は永久に出回る可能性を持っている。このことが加害者に、被害者への思いを断ち切れなくさせ、復讐心を一層煽ることになったのではなかろうか。二人の恋がシークレットに行われ、ネットに
アップロード
しなければ、二人の関係が破綻してしまったとしても、加害者に殺意を起こさせることは無かったのかも知れない。殺害されて女優への夢を絶たれた女子高校生はどんなに無念だったことか、残念な事件であった。
私の青春時代には、インターネットは勿論のこと、有線電話も富裕層だけが所有していた。勿論我が家にも電話は無かった。私は、19歳のとき同じ汽車通の同年代の女子学生を見染た。映画にも何度か一緒に行き、私は彼女にラブレターを書いたが、見事に振られてしまった。当時、映画は週に一回、決まった時間に上映されていた。悩んだ末、私は彼女の下宿近くの電柱の蔭に隠れて上映時間の数十分前から待ち伏せし、家を出た彼女に気付かれないように尾行した。彼女は映画館の前で待っていた一人の青年と映画館に入って行った。彼女が冷たくなった理由を知ってしまった私は大きな悲しみに襲われ、その晩は家に帰らず、大学の部室で横にもならず悩み続けた。翌朝、私の出した結論は、その頃一番難しい教科であった「電気回路学」の学習に没頭することであった。「電気回路学」は「電子回路学」の基礎となる教科で、さらにコンピュータの基本となる教科でもある。お陰で私は「電気回路学」の成績がクラス一となり、生涯その分野で研究を続けることができた。失恋の辛さを知る者として、今回失恋のリベンジ殺人を犯した青年の気持ちはわからないでもないが、もしこの青年が私の世代での人であったら、殺人まではしなかったと思う。現代の
SNS
の利便性は最早止めることはできないが、
SNS
利用による、特に未成年者のトラブルを防ぐには、保護者や教育機関関係者などが
SNS
の特徴を十分学習し、常に未成年者との話し合いを欠かさない配慮が必要であろう。Oct. 19,2013
成田裕一
)
迷惑メールの攻撃、その後
5月の下旬頃から迷惑メールの攻撃を受けていることはこのコラムの6月に紹介した。しかし迷惑メールは一向に止まず、未だに来ている。、ひたすら削除するので、実害は無いのだが毎日数十分は無駄な作業をしなければならない。自分のメールアドレスを変えれば解決するが、変えると多くのメール友人に迷惑をかけてしまう。発信者は大石●という女性名であるが、全く知らない名前である。多分偽名であろう。向こうはメールの中で私をゲストさんと呼んでいるので誰にでも同じ文を自動で送信していると思われる。私がインターネット接続しているパソコンはノートパソコン(Windows7)と、タブレットパソコン(Windows8)であるが、いずれも標準で
MicroSoft社のWindows Defender
というウィルス除去ソフトが組み込まれている。これらのパソコンには、他にトレンドマイクロ社の
ウイルスバスタークラウド
というソフトを組み込んでいる。しかし迷惑メールは、それ自体ウイルスではないので、受信しただけでは悪さはしない。したがって、これらのウィルス対策ソフトには引っかからない。迷惑メールを受信した後、それを開いてしまい、発信者とのやりとりの過程でトラブルに巻き込まれることになる。対策としては、受信した迷惑メールは開かずに、メールソフトの迷惑メールマーク機能でマークし、迷惑メールフォルダに入れてしまう。数日してからプロバイダー(パソコンをインターネットに接続してくれる事業者を言い、私の場合は、Plala)の迷惑メール確認ソフトを起動して、迷惑メール一個毎に目で確認しながら削除する。迷惑メールでないものも稀に紛れ込んでいるからである。5月下旬以降、迷惑メールフォルダに捕らえられる迷惑メールが増えるにつれ、迷惑メール到着数が減少している。7月30日から8月16日までは全く来なくなった。だが敵は夏休みだったようで、8月16日からまた来るようになった。その後迷惑メールフォルダに捕らえられ、一旦来なくなったが、最近は又来るようになった。敵は応答しないでいるとメールアドレスを変えて攻撃して来る。迷惑メールのタイトルは数十個のパターンに限定されているので、多数のサーバーコンピュータに記憶しておいて自動で発信し、ひっかからないとアドレスを変えてまた繰り返すというパターンである。決まって
「30万円の残高があります。」
に始まって、
「お振込みの準備は整ってます。後はゲストさんの確認と口座情報をもらうだけです。」「やはり私は信用されない女なのでしょうか…? 」「最後です。このメールだけは開いて下さい 」「もう私に死ねと言.っ.てるのでしょ.うか?(涙)このままでは 私 は … 」
と泣き落とし戦術になる。勿論無視して削除するので、今度はメールアドレスを変えて
「30万円の残高があります。ご利用はこちらから」
から始まって、後は同じパターンで来る。迷惑メールには、
迷惑メールフォルダに放り込み。絶対に、開けない、読まない、返信しない
で対処するしかない。(Sept.19,2013
成田裕一
)
SNSの利便性に惑わされない若者に接した一日
インターネットを利用した人間と人間の交流サービス、
ソーシャルネットワークサービスSNS(Social Network Service)
については、昨年の12月のこのコラムで述べたが、その中でも今や多くの若者に利用されているのが
ライン(Line)
といううシステムである。
Line
はスマートフォンで利用されているアプリ(利用プログラム)で、
スマートフォン
を所有していれば、そのメーカーや機種に関係なく無料で
Line
に加入でき、
Line
に加入している者同士で無料通話、メール、文章や写真を掲示板書き込んだり、ゲームができるというもので、若者から中年層まで広く利用されている。登録にあたっては実名や実住所は必要でなく、仮名やニックネームでも利用できる。このため、今や多くの中学生や高校生でも
無料通話
や
無料掲示板
を利用している。相手のIDさえ知ることができれば、
誰とでもでも交流できる
ところに問題がある。今回広島で起きた悲惨な少女遺棄事件は無料掲示板を利用したものであろう。人同士が直接会って口論する場合は、言った言わないで、うやむやになってしまうこともあるが、掲示板であればインターネット上にいつまでも情報が残ってしまうので、トラブルがエスカレートしてしまう。ノンフィクション作家で、大きな交通事故などの評論家でもある
柳田邦夫氏
は、その著書
「壊れる日本人」
の中で少年少女の携帯依存を強く憂えていて、未成年者にノーケイタイ、ノーテレビ時間を設ける
ことを推奨している。しかし、これだけ情報処理技術が発展し、その利便性に慣れてしまうと、ノーケイタイを実現させることはきわめて難しい。私は毎週金曜日に秋田県立博物館に行き、そこの菅江真澄学習センターで「菅江真澄と鉱山」の学習をしているが、つい最近、私は二人の男子高校生を菅江真澄学習センターに招いた。この二人は私の出身高校の後輩である。二人は自分の小遣いで鉱物のサンプルを買い求める程の鉱物好きである。将来は大学で鉱物を学びたいと言っている。二人とも高校での成績は極めて優秀で、トップクラスと聞いている。菅江真澄は幼いときに国学や漢学の他に本草学も学んで居り、薬草や鉱物の知識も豊富に持っていたので、二人の高校生が関心を持っている明礬や鉱物などについて、菅江真澄が書いたものを説明してあげることができた。この二人の高校生はスマートフォンは所有していなかったが、パソコンや、携帯電話は所有していた。パソコンは学習の道具として利用し、携帯は家族や友人との連絡用に使用している程度で、ゲームや不特定多数の人との交流ににはまり込むことは無いとのことであった。
明確な学習目的を持ちながら、IT機器も学習のために適宜利用できる、
この二人の後輩の生き方に感心した一日であった。我が高校の同窓生の中には、スタンチンの発明でノーベル賞候補にもあげられている
遠藤章博士
や、私と同期で国際毒性学会で今でも活躍している
佐藤哲男博士
などの国際的に活躍されている学者が居るが、上記二人の後輩生徒がこのような先輩に成長されることを期待した一日であった。(Aug. 19,2013
成田裕一
)
ビッグデータとデータサイエンティスト
情報処理や通信技術を業務、またはこれらの技術を利用している企業は、巨大(ビッグ)なデジタルデータを所有している。この巨大なデジタルデータを集めて分析して有益な戦略情報を生成する技術者が
データサイエンティスト
と言われる。自治体やICT以外の企業などのICT利用ユーザーの多くが、日々発生するデータの保存とその処理プログラムを自分の所に置かないで、大手ICT企業のサーバーコンピュータに置くようになった。ユーザーとサーバーコンピュータはインターネットで結ばれているが、ユーザーはデータやプログラムがどこに置かれているかを知る必要が無く、雲の中にあるようであるように見えることから、
クラウドシステム
と言っている。
ビッグデータ
の活用が叫ばれる遥か以前の1970年頃から、特に小売業や流通業で使用されている
POSシステム
がある。若年層から老人まで良く利用するコンビニなどで買い物をして支払いをしようとすると、必ず「ポイントカードをお持ちですか」と聞かれる。ポイントが付くことにも惹かれて、私も数年前から所有した。ポイントカード取得にあたっては、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を登録させられる。買い物をして精算の際に、どこに住んでいる人が、いつ、何を何個購入したかが直ちにコンビニの本部に送られて分析され、売り上げ処理、在庫管理、販売戦略に利用されている。
ビッグデータ
の活用は、この
POSシステム
を巨大にしたものと考えて良い。
ビッグデータ
はデジタル信号であるため、インターネットを介して収集される。インターネットは世界中に繋がっているので、高度なIT技術があれば、他国のデータの入手も行うことができる。米国の
NSA(National Security Agency:国家安全保障局)
は世界中の
メタデータ(インターネットを利用した人が、何時に誰と連絡しているかの情報)
を収集・記録・分析し、テロ対策に利用していると言われている。またコンビニや大型店舗など、人の多く集まる場所、一般道、高速道路などには
監視カメラ
が設置されて居り、デジタル画像情報として記録される。また、多くの人が携帯電話やスマートフォンを所有しているが、これらの機器の使用場所は、その通信機器の製造会社が容易に把握できるので、入手したデータを高速で分析し、例えば、利用者が多くて通話やメールが繋がりにくくなっているというような問題の解決に利用している。また、美容商品や健康商品などの販売データと、気象データなど公的に得られる
ビッグデータ
を収集・分析して、製造と販売戦略に貢献させている例もある。ところで、
ビッグデータ
の分析に携わる
データサイエンティスト
はきわめて不足しており、ICT企業はその人材不足を大学に求めていると言われている。
データサイエンティスト
に求めにれる能力は、単に情報処理技術だけではなく、経済や統計処理にも通じていなければならない。さらに大事なことは、顧客である利用ユーザーに有益な情報を提供しなければならないが、現在の情報技術系の大学では、このような実践的な問題を研究テーマとして取り組んでいるところは少なく、
データサイエンティスト
の育成は容易ではないと思われる。(June 19,2013
成田裕一
)
迷惑メールの攻撃された
5月の下旬頃からであろうか、自宅のパソコンに迷惑メールが頻繁に入るようになった。私のパソコンのメールアドレスは私のホームページでは公開していない。このコラムの最後に書いてあるメールアドレスは、
iPad
で登録したこのコラム専用のものであるが、こちらのアドレスに迷惑メールが入ったことはない。私のパソコンのメールアドレスは、公開はしていないものの、大学の同窓会名簿には多くの同窓生と同様掲載しているので、卒業生のどなたかが、裏社会の人に見せていたり、名簿を譲渡したりしていることがあるかも知れない。私のパソコンのメールアドレスは、名刺にも印刷されているので、差しあげた名刺からメールアドレスが裏社会に渡ってしまうことも考えられる。5月の下旬から今日まで
1200通
もの迷惑メールが来ている。開いて本文を見たことは一度もないが、メールのタイトルは、
@
「30万円の残高があります。」
に始まって、
A
「送金準備が完了しました。ゲストさんからの連絡があり次第即時行動に移ります。」
B
「振込のタイミンてすがゲストさんのOKを待つつのみとなって居ります。」
応答しないでいると、
C
「30万円は振込済です。すでに確認済みでしたか。」
これにも応答しないでいると。
D
「現金30万円が代行で入金されました! 」
とか、
E
「口座情報があれば振込みは間違いなく可能です。5 500万をお受け取りいただけませんか?」
などというメールが来ます。それでも応答しないでいると、
F
「私にとっては5500枚の1万円札が紙くず同然です。もらっていただけませんか?」
と等と続きます。送信者名はすべて
大●遥
という女性名で、
G
私が女性という立場だから相手にされないのでしょうか?
など、挑発するような内容になることもあります。
何の関係も無い人がお金をくれる
ことは絶対にあり得ないので、即迷惑メールと判断できますが、何のためにこんなメールを送って来るのでしょうか。多分
フィッシュング(釣り)詐欺
の一つかも知れません。もしメールを開いて応答してしまうと、銀行名や口座番号を入力させられ、多額の金額を振りこむためと称して手数料を振りこませるとか、あわよくば銀行通帳の暗証番号を入力させられ、預金を引き出されてしまうかも知れません。
D
のメールが来たこともあって、念のため私が持っている口座の預金を調べましたが、当然のことながら、見知らぬ人からの入金は全くありませんでした。対策ですが、一番簡単な方法は
自分のメールアドレスを変える
ことです。しかし、多くの人々とメールをやりとりをしている私には、相手に迷惑をかけてしまうので簡単には出来ません。当初、メールソフトの
「迷惑メールフィルタ」
を適用してみましたが、一時は来なくなるのですが、敵は
頻繁にメールサーバーを換える
ため、その都度、上記
@
から始まるメールが来てしまいます。従って毎日何十分か削除作業に追われてしまいます。迷惑メールは世界中に送られているので多くの人々が多大な時間を奪われています。私の場合、絶対に迷惑メールを開かないので、今のところ実害もなく、使用上何ら問題はないのですが、削除に多くの時間をとられてしまいます。加入しているプロバイダーにも相談してところ、迷惑メールに含まれている
キーワード
を探し、それを含む受信メールを拒否できるというのですが、
キーワード
を考えるのが大変です。できれば国が予算を計上して、わざと詐欺メールを開いて、加害の仕組みを明らかにし、不届き者を取り締まって貰いたいものです。(June 19,2013
成田裕一
)
コンピュータソフトウェアは人間が作るもの
コンピュータという機械だけでは何も仕事はしない。コンピュータに仕事の手順を教えて、はじめて役に立つ仕事をする。情報技術を専攻した者を除いて、このことをある程度理解している世代は30歳以下である。高等学校が正規のカリキュラムとして取りあげるようになって10年足らずである。私は今から25年程前からある大病院と病院情報システムや看護情報システムの共同研究を始め、実際に現場に適用できるシステムを作ったことがある。私の本来の目的は、その病院の情報システム技術者を育てることと、看護情報システムを活用できる看護師を育てることであったが、あるとき看護師のトップの要望で、私自身がシステムを考えプログラミングをして要望に応えてあげたことがあった。そのときそのトップは大変感心されて「機械は凄い」と言われた。その言葉に「ソフトウエアは人間が考え、人間がプログラミング技術を駆使して作るものなのに」と心で叫びたかった。コンピュータのシステムやプログラミングは人間が作るものであることを十分理解しいる企業や自自体のトップは現代でもまだ少ないと思われる。超大な企業でも毎年何度か、情報の漏洩やICTシステムの事故が起こるのは、そのトップのICTに対する無理解やICTに携わる社員を正当に評価しなかったことが原因であることも少なくない。ところで満81歳になった私は、今でも自分の趣味や研究以外にパソコン触れる機会がある。その内の一つに、自分が卒業した高校の同窓会のコンピュータ業務がある。会費のデータ処理、ホームページの更新など、たいして難しい仕事ではないが、もう何年も前からコンピュータ業務を交代してくれる人を探して欲しいとお願いしているのだが一向に実現されていない。無報酬でICTを使いこなせる人は簡単には見つからないようである。先月末のBS日本テレビで、宇宙物理学者の松田卓也さんと、タレントの加藤浩次さんの
「コンピュータが人を超える」
という対談があった。スーパーコンピューターが進歩して超小型化し、個人の持っている知識や能力の全てがその個人の脳や体の機能に組み込まれ、医学の進歩で全ての病が治癒可能となり、生体ロボット技術の進歩で若い元気なときの容貌や体型が維持され、人は永遠に生きるようになるかも知れないというようなお話だったようだったように思う。いずれそうした時代は来るであろうが、高齢の私が生きているうちに来ることはあり得ない。同窓会のコンピュータ業務も後継者が出現しなければ早晩同窓会は衰退し、母校への貢献も出来なく成るであろう。(May 19,2013
成田裕一
)
Windows8パソコンを使用して半年
昨年の10月末に
Windows8
パソコンを購入して半年になる。家で使用することはあまり無いが、鉱業博物館での作業や、秋田県立博物館での「菅江真澄と鉱山」の学習など、外出先で、
Windows
のソフトを使用したいときに持ち歩いて使用している。
Windows
パソコンとしては起動と終了がかなり早く、動作も安定して、トラブルも無く使用している。
Windows8機
を起動させると、画面に内蔵されている
アプリ
(ソフト)の名前を表す四角いタイルがずらっと並び、これを指やマウスでタッチするとそのアプリが起動して使えるが、一つのアプリで全画面を占領してしまう。私の場合は、一画面に複数のソフトを起動させて利用することが多いので、起動後直ちに昔の画面(
デスクトップ
)に切り替えてマウスで操作している。機種は、
Sony VAIO Duo12
で、折りたためばキーボードが隠れてタブレット形にもなる。画面サイズは11インチ、重さは1.3kgでちょっと重い。外出先でメール、インターネット閲覧、音楽を聴いたり、電子ブックを閲覧したり、タブレットとしての機能は揃っているが、画面の指タッチ操作が円滑でなく。操作性では
iPad
にかなわない。マウスとキーボード操作では全く問題が無いので、
VAIO Duo12
を持ち歩くときはマウスとマウスパットを持ち歩いている。最近は、
iPad
や
Windows8
タブレットより極めて安価で軽いタブレット端末も発売されているが、長年使い続けていた
Windows
のプログラムの開発や利用が出来ないという理由で、私の利用目的には合わない。昨年の10月までは、
Windows Vista
のパソコン(1.7Kg)を持ち歩いていたので持ち歩きは少し楽になった。ところで、私の友人でパソコンを使用している方々の多くは
WindwsXp
を所有している。マイクロソフト社は来年の4月をもって
WindwsXp
のサポートを終了することになった。サポートを終了するということは、
WindwsXp
が外敵の攻撃を受ける状態になっても対処しなくなるということになり、ウィルスなどの攻撃を受けやすくなるということになる。私も11年前に購入した
WindwsXp
のデスクトップパソコンを今でも使用しているが、このパソコンはインターネットに接続せず、個人情報の処理専用に使用しているので外敵による被害を受ける危険は無い。現在所有して居られる皆さんがこのまま
Xp
を使い続けたい場合は、インターネットに接続しないで使用されるか、
WindwsXp
対応の他社のセキュリティソフトを組み込まれることが望ましい。またこの際、
Xp機
から、
Windows8機
に乗り換える場合でも、
Xp機
で使用していたソフトのCDがあれば、これらを
Windows8
に組み込んで使用できる。ただし購入前に利用目的を良く考え、ディスプレイが
タッチパネル方式
かどうかを確認された方が良い。(Apr. 19,2013
成田裕一
)
電気工学を学んで
電気工学は古くからある学問であるが、人間生活にとって未来永劫に亘って必要な学問である。この電気工学にとって最も基本となる教科が電気磁気学と電気回路論である。私は今でも、学生時代に購入した財団法人電気学会が発行した電気磁気学と電気回路論の教科書を所有していている。表紙も装丁もぼろぼろになっているが、ときどき参考にしている。昭和26年、大学2年のとき、ともに400円で購入したものである。電気磁気学は難しく、あまり興味は持てなかったが、電気回路はよく勉強した。私は記憶力があまり良い方ではないので、実技を伴わないと学問が身につかなかったが、一般教育で履修した物理実験や、電気実験の履修が電気回路の学習を大いに助けた。電気そのものは肉眼で見ることは出来ないので、電気を良く学ぶ者は論理的思考力が高くなると言われるが、そのせいもあってか、専門科目の成績のほとんどの成績はAであった。私が電気工学科を受験した動機は、幼いときからラジオの仕組みに関心があったこともあったからであろうか。特に電子回路に関心が強かったが、実験を伴う教育を受ける機会が無く、学問としては身についてなかった。それでも組み立てキットを手に入れて、友人に製作してあげたことがあった。ラジオの回路は電子回路に属するが、主要な部品は抵抗器、コンデンサ、変圧器、配線材料から成る電気回路部品と、信号の増幅や変換に用いる真空管で構成される。電気回路部品は受動素子と言われ、真空管は能動素子と言われる。受動素子の基本は現代でも変わらないが、能動素子は真空管から、トランジスダ、IC、LSI、超高集積LSIと微細化が進み、現代のテレビやコンピュータなどのすべての電子機器に利用されている。学生時代に電気回路を良く勉強したお陰で、卒業後の北海道炭礦汽船(株)での坑内電気技術者として、秋田大学鉱山学部(現、工学資源学部)の電気、電子、情報工学科での教育と研究ができ、81歳になった現在でも、秋田大学工学部資源学研究科付属鉱業博物館博物館のサイエンスボランティアとして標本データーベースの制作・保守をさせて頂いている。電気工学は過去、現在、未来に亘ってきわめて重要な技術である。2011年3.11の原子炉冷却水ポンプの電源確保の問題、再生可能可能電力と発電コストと送電コストの問題、風力発電機の雷被害の問題、最近ではボーイング787の電池と電気系統の問題など、電気技術者でないと解決できない問題は極めて多い。この春、電気工学科や電気・・・科に学ぼうとしている若者の将来に期待したい。(Mar. 19,2013
成田裕一
)
悪筆に思う
私は自他ともに認める
悪筆
である。
筆順
もよく知らない。しかし、亡き父母は達筆であった。特に父は北秋田市合川の尋常小学校を卒業して直ぐ秋田営林局の給仕に採用された後会計一筋に励み、定年のときは秋田営林局会計監査官になったが、とても美しく正確な字を書いていた。私が敬愛していた秋田市立中学時代からの友人で、今年の1月5日に亡くなられた
福岡政弘さん
は私の父と同郷の出身であったが、小学校時代から中学・高校での成績も抜群で、秋田ボーリング株式会社の社長として会社の発展に貢献し、平成9年には秋田大学から工学修士の学位も取得された才人であったが、
昨年亡くなられる直前まで達筆のお手紙やお葉書を頂いた。私は現在
「菅江真澄と鉱山」
について学習しているが、
菅江真澄
は達筆であり文章はもとより、図絵を描く才能にも優れていた。達筆の人達に共通しているのは、いずれも幼少のときから学問に良く励んでいたということである。私の場合は、幼少のときに病弱で、学校の授業も休むことが多かったせいもあり、きちんとした勉強はしていなかった。特に国語、歴史など文系の学問は、記憶力と持続力がなく成績は悪かった。しかし理数には興味があり、それなりの成績であったせいか、秋田大学鉱山学部で電気工学を学ぶことになり、悪筆でも字の形が間違っていなければ学業を続けることができた。大学2年のとき同じ学部の1年下の女子学生に恋をした。彼女は専門は工学で有りながら文学書もよく読む才女であった。私は
悪筆
を気にしながら一生懸命ラブレターを書いたのだが、文が稚拙で悪筆だったせいなのか、見事にふられてしまった。そのとき彼女が受け入れてくれたら、私の人生も変わっていたかも知れない。大学を卒業後に就職した会社を辞めて大学にもどり、教育・研究の生活となったが、工学の世界では悪筆
でも文字の形が違っていなければ困ることはなかった。ただ学位論文だけは字の上手な教育学部の女子学生をアルバイトに頼み、清書して頂いたことがある。1977年頃からパソコンが出現し、パソコンのキーボードから入力した文字が印刷できるようになって、漸く
悪筆
の悩みが少なくなった。とは言っても、授業の際黒板に文字を書かなければならないのだが、式や回路図を書くことが多かったので救われた。相変わらず漢字の筆順は我流だったが、学生も理工系であったせいか見逃してくれたようだ。現在は送る相手がパソコンを使える限り手書きで文書を書くことがはないが、お世話になっている方や、パソコンを使わない友人に、パソコンで印刷した文書を送るのは失礼なので、そういう方達にはできるだけ手書で手紙を書くようにしている。その際はまずワープロソフトで原文を作成し、その文章をバソコンの画面上に大きく拡大して、それを見ながらキーポード上に便箋を置き、一字一字手書きしている。しかし
筆順
だけはいい加減なので文章全体が美しくない。この歳になって
筆順
を習うのも恥ずかしいので、
パソコン向けに、筆順を教えてくれる
無料ソフトウエア
を見つけたで学習してみたいと思っている。(Feb. 19,2013
成田裕一
)
2013年ICTキーワードとシニア
2013年もICT(情報通信技術)の分野では、
LTE ( Long Term Evolution 高速無線通信技術)
などのネットワークの高速化、
ソーシャル・ネットワーキング・サービス
、
クラウド
を利用した
ビッグデータ
の活用、
スマートフォンやタブレット端末機の急速な普及
などのICTが人間の生活に大きくかかわってくるものと考えられる。これらのICTの変革は、一見老人にとって無関係とも思われるが、決してそうではない。例えば身近な例が
ポイントカード
やポイント付き
クレジットカード
の利用である。紙やプラステックスではなく、スマートフォンにポイントを記録する方式のものもある。ポイントカードの取得は多くは無料なので、ポイント還元に惹かれて、若者から老人まで多くの人々が利用している。デパートや大型小売り店でも、
クレジットカード
に
ポイントサービス
を付けているところが殆どである。
ポイントカード
には登録時に氏名・性別・生年月日・住所・電話番号などの個人情報が記録されている。
クレジットカード
にはさらに、利用料金を差し引くための金融機関の情報も記録されるので、これを敬遠してクレジットカードを持たない老人も居る。私がクレジットカードを持ち始めたのは1981年、米国に短期留学した頃からだ。それ以来現在まで事故は一度も無い。米国ではクレジットカードを持たないとレンタカーを借りることができない。米国では米国人が経営する個人商店で買い物をする場合でも、現金で購入したいからと言っても値引きしてくれない。その頃の日本では大抵の店が現金購入で値引きしてくれた。ただし米国でも、経営者も使用人も日本人であれば現金値引きをしてくれたが。それが現在は日本のデパートや大型店の多くが、店が発行している
クレジットカード
で購入した場合はポイントが付く他、値引きもしてくれることが多い。クレジットカードでの取引では、店はクレジットカード会社に手数料を支払う必要があるだろうに、
何故クレジットカードの利用が歓迎されるのだろう
。それは多分、顧客の利用情報が瞬時にインターネットを介して
クラウド
上のサーバーコンピュータに記録され、その店の系列店や同じ資本下の店や関連会社の情報とともに、
ビッグ(巨大)データ
として関連会社やクラウド運営会社が種々の情報処理行い、その店やその系列店の顧客対応のための戦略情報として活用していると思われる。
スマートフォン
は、手のひらにのる、
クラウド
にもアクセスできる超小型コンピュータなので、その急速な普及は販売店員が顧客の消費情報をリアルタイムで収集する有力な道具として利用されていくであろう。シニアとは無縁と思われるもICTも、シニアの消費行動は、しっかり、かつ速やかに分析されて販売戦略に活用される。(Jan. 19,2013
成田裕一
)
シニアから見たICT2012年
2012年もICT(情報通信技術)はいろんな話題を提供した。この私のコラムでも、 私物情報機器の持ち込み(
BYOD
)がもたらす諸問題(11月)、
Windows8
タブレット型パソコンを使用して(11月)、
デジアナに思う
(8月)、紛失したポイントカード(
クラウド
7月)、シニアと
ソーシャル・ネットワーキング・サービス
(
SNS
6月)、デジタルシニアとデジタルコミニティ(4月)、
”スマート”
ということば(2月)、
電子書籍
作成と自炊(1月)のテーマで書いた。この中で特に大きな話題を提供したのが
(SNS)
と、
スマートフォン
であろう。
スマートフォン
は
スマホ
と略称される。大きさは4インチから5インチと携帯電話より少し大きく、重さも携帯電話と殆ど変わらない。
スマートフォン
は通話ができる
超小型コンピューター
である。機械的なキーボードは無く、画面に表示される絵や文字を指で触って操作する。数字や文字の入力が必要なときは画面に現れたキーボードの絵に指で触って操作する。カメラも付属、用途は通話、ホームページの検索・閲覧、音楽や動画の鑑賞、電子ブックの閲覧、
ソーシャルゲーム
などの
SNS
の利用などである。コンピューターなのでプログラム(アプリと呼ばれる)次第で多様な用途に使用できる。データの多くは
クラウド
に自動的に預けられるので大きなメモリも必要としない。有償無償を問わず、実に多くの
アプリ
がある。機種は基本プログラムにより大別され、米国アップル社の
iOS 6
を使用した
iPhone(アイフォン)5
が最も多く売れ、米国Android社(2005年に米国グーグル社に買収された)が開発した
アンドロイド
を採用したAndroid(アンドロイド)系の機種が売られている。日本の電気メーカーはアンドロイド系のスマートフォンを製造販売している。スマートフォンを利用するためには無線通信会社と利用契約が必要で、パケット通信料の定額サービスを契約しておくことが望ましい。利用形態にもよるが、毎月数千円程度の料金が発生する。
スマートフォン
の普及は
SNS
の利用が大きく後押しした。例えば、
LINE
という
SNSアプリ
は、スマートフォンで使える無料電話である。
スマートフォン同志であれば機種が違っても無料通話ができる。
ただし
LINE
には電話帳の自動収集という機能もあるので、知らない人や迷惑な人から電話がかかってくることもあり得る。
スマートフォン
では、
ブログ
、
ツイッター
、
フェースブック
などの
SNS
も当然利用できる。
SNS
では、直接人と対話することなく、気軽に見知らぬ人と交流できる利点はあるが、
SNS
の仲間の一人が他の仲間に、同じ仲間の個人情報や写真を、当の本人に無断で
SNS
を経由して漏らしてしまったとう事件も発生している。人との直接対話を大事にしたい老人には無縁な世界ではあるが、
スマートフォン
は、
アプリ次第
で目的を限定し、操作も簡単なものもできるので、独居老人同志が気軽に友人とコミニケーションができるアプリの出現が待たれる。(Dec. 19,2012
成田裕一
)
Windows8タブレット型パソコンを使用して
薄い板状の形をしたパソコンがタブレット型パソコンである。軽量で、書類を入れて持ち歩く鞄にも収納できる。現在指タッチで操作できるタブレット型パソコンでトップの座を維持していは米国アップル社の
iPad
である。著者は2010年6月に初代
iPad
を、2011年4月に
iPad2
を購入した。自宅では専ら
Windows
パソコンを使用しているので、
iPad
は外出先で利用している。特に病院での待ち時間の有効利用に役立っている。用途は、関係している会社の電子会議参加、メール受信、ネット検索、電子ブック閲覧、音楽鑑賞などである。
iPad2
の画面サイズは24センチ(画面の左上隅から右下隅までの長さ)、厚さ1cm、重さは600g、電池を満充電しておけば7時間以上使用できる。電源スイッチを入れると瞬時に使用できる。2年間使用してトラブルは全く無く、コンピュータウイルスについて心配したこともない。指タッチによる操作も軽快かつ確実であり、二本指による文字の拡大もスムーズである。ただ私にとって大きな問題が二つあった。一つは
iPad2
から電子メールを
Windows
パソコンの所有者に送信した場合、文字化けして表示されることがある。もう一つの大きな問題は著者が長年使用している、
Windows
パソコンのソフトウェアの殆どが使用できないことである。そのため、外出先でパソコンを使用しての処理や説明が必要な場合は、
Windows
のノートパソコンも持ち歩かなければならない。そんな中で2012年10月末に、画面に指タッチして操作ができる基本ソフト
Windows 8
を組み込んだ、タブレット型パソコンが各社から発売された。試用した機種は
VAIO Duo 12
で、画面サイズは29.5cm、厚さ1.8cm、重さは1305g、電池の持ち時間は6時間、液晶画面を折りたたんだ場合はタブレット型になり、液晶画面の上端を手前に引くと、画面が立ち上がってフルキーボードが手前に現れ、ノートパソコンとして使用できる。無線LAN接続機能は勿論、有線LANの接続端子や、プロジェクターへの接続端子も装備している。磁気ハードディスクは装備されず、基本ソフト、アプリケーションソフト、データは半導体ディスク
SSD
(Solid State Drive:半導体記録装置)に保存する。起動時間は数秒以下で極めて速く、セキュリティ機能も強化されている。懸念していたこれまでの
Windows
のソフトや、著者が1982年に開発し、現在も使用しているデーターベース管理ソフト
NDBS
も支障なく組み込みでき、利用できた。起動すると画面一杯に大きなタイルが沢山並び、それをタッチしてそれぞれのタイルに割り当てられたアプリが使えるが、私は
「デスクトップ」
のタイルを選び、マウスで操作しながらこれまでの
Windows
のパソコンと変わらない使い方をしている。画面は高解像度(1920×1080)でとてもきれいだし、音楽プレイヤーとしても優れている。
iPad2
に保存している音楽ファイルも全て組み込みでき、電子ブック端末機としても利用できた。しかし、
iPad
と比較して指タッチ機能が円滑でなく、付属のタッチペンは必携である。二本指による文字の拡大機能はぎこちなく、
GPS
による現在位置機能も不安定である。
iPad
を見習い、早急に改善して欲しい。とは言うものの、パソコンとしての機能は十分なので、外出にはこれ一台で済みそうである。(Nov. 19,2012
成田裕一
)
私物情報機器の持ち込み(
BYOD
)がもたらす諸問題
最近秋田県でも、私物のパソコンやメモリを自宅に持ち込み、役所や学校などの公共の個人情報がインターネット上に流出してしまった事件が続いている。いずれも故意ではなく、仕事場から自宅に持ち込んだ情報機器を、自宅でインターネットに接続しながら作業をしたり、インターネットを利用したゲームや、インターネットからファイルを取り込む(
ダウンロード
)過程で、公的情報を誤ってインターネット上に流出(
アップロード
)させたりしたケースである。極く最近では
ダウンロード
の過程で悪質なウィルスを含むファイルを、それとは知らずに
ダウンロード
してしまい、自分のパソコンが勝手に操作された上、恐喝まがいの情報発信をさせられてしまい、そのパソコンの所有者が警察に逮捕されてしまった事件が報じられた。こうした事件の発生を防止するためには、当事者に情報機器を気を付けて使うようにというだけでは解決にはならない。職場で使用している情報機器を自宅に持ち帰らない、あるいは個人の情報機器を職場に持ち込まなければ問題は起こらない訳だが、定められた就業時間内で情報処理作業が終わらないことが多く、仕事熱心のあまり、つい自宅で公的な情報処理をしてしまうことがある。私も現役の頃は、職場では授業、研究、会議に追われ、授業のための資料作成や成績処理は殆ど自宅のパソコンでしていた。現代では多くの人々が仕事にパソコンを使っており、それらの人々の自宅ではパソコンをインターネットに接続している。従って漫然と自宅でパソコンを使用していれば、インターネット上への情報の流出や、インターネットからの不正プログラムの侵入は避けられない。こうした問題に対処するために
BYOD
対策が叫ばれている。
BYOD
とは、
Bring Your Own Device
の頭文字をつないだもので、あなた自身が持っている
Device
(この場合はパソコン、スマートフォン、USBメモリなどの情報処理機器)
を職場に持ち込む、あるいは職場から持ち出すことを言っているが、最近では
BYOD
によってもたらされるトラブル対策そのものを
BYOD
と言っている。企業などでは仕事の効率化や経済効果を考えて、きめ細かい
BYOD
対策を定め、私物の持ち込みや持ち出しを積極的に推奨している例もある。具体的な
BYOD
対策例としては、職場から私物の情報機器を持ち出す場合、
@
必ずその機器に含まれるデータを
暗号化
しておき、通勤時での盗難やデータ喪失による被害を防ぐ。
A
自宅のパソコンには
信頼できるウイルス対策ソフトを組み込んでおくことと、データ処理をする場合はインターネットに接続しない状態
で行う。
B
職場が
クラウド
(インターネット上にサーバーコンピュータを置き、そこに利用者のシステムやデータを置いて有料で利用して貰う仕組み)
を採用している場合は、利用者はクラウドを利用するためのパスワード入力などの手続きを知っていれば、職場でも通勤途上でも自宅でも大事な
データを持ち歩くことなく
利用できる。一般にクラウドは安全と言われているが、クラウドも人間が管理・運営しているので100%安全とは言えず、今年もあるクラウドで大きなデーター喪失事故を起こしている。このように考えていくと、
BYOD
がもたらす被害を防ぐ完全な対策は無いが、管理者も利用者も十分
BYOD
対策を考えて情報機器を使うことが大事である。(Oct. 17,2012
成田裕一
)
真澄と鉱山データーベースより
2012年9月13日、秋田県鉱山資料館等連絡協議会と日本鉱山史研究会共催の、
第3回 秋田県鉱山サミット
が
「秋田県の鉱山に見る歴史」
のテーマで秋田大学鉱業博物館で開催され、その講演会の演者の一人として講演した。私の講演テーマは
「菅江真澄と鉱山のデジタル記録」
である。私は17年前から秋田大学鉱業博物館の
標本デターベース
を、同じ同館のサイエンスボランティアの倉田雄二郎氏と共に作成・保守を続けている。6年前であったろうか、サイエンスボランティアの一人が「尾張の国の豊橋出身の
菅江真澄
が、183年前に76歳で秋田県仙北市神代で亡くなるまでその半生を秋田に滞在し、秋田県内の殆どの鉱山を訪れたのは
幕府のスパイであったからなのか。
」と言われたことを聞いたのがこの勉強を始めた動機である。私はそれまで理工学書しか読んだことがなく、
菅江真澄
のことは殆ど知らなかったので、元秋田大学長で現在秋田県立博物館名誉館長の新野直吉先生に学習の指導をして頂き、同館で真澄を研究され居られる学芸員の松山修先生と、永年真澄を研究されておられ
菅江真澄研究会
会長の田口昌樹先生を紹介して頂いた。それから現在まで、上記の諸先生の指導を頂いて、週一回秋田県立博物館の
菅江真澄資料センター
を訪れ、真澄関係の文献の中から鉱山に関して記述している箇所を探し読み始めた。真澄直筆の本を読む力は無いので、主として活字になっている内田武志,宮本常一編集の「
菅江真澄全集
(全13巻、B5版6451ページ)を読み、
鉱業、地震、温泉など
に関係したキーワードを含む文、注釈、図絵の情報、筆者が調査した情報を記録した。この勉強を始めた年齢が74歳、記憶力も減退していた上、これまで文学書も歴史書も殆ど読んだことがない私には、読んだところを自分の悩に記録することは絶対に不可能であったので、パソコンに記録していくことにした。真澄全集を電子スキャナで読み取り、パソコンで編集可能な文字コードに変換する方法もあるが、私自身が真澄全集を所有していないことと、文字認識率が100%ではない上、鉱山に関したキーワードを探して記録したいという大事な任務があるので、自ら読んでパソコンに手入力した。使用したソフトは、私が1983年に開発した
NDBS
と名付けた
データベース管理ソフト
で、現在は鉱業博物館の標本管理、一交会(秋田市立高校、秋田県立中央高校の同窓会)の名簿管理などに使われている。これまで入力した件数は
167
件(レコード)、入力した文字のうち、全集の分だけで漢字換算で
4万1千
文字、
キーワード
は
1千
語である。これまでの記録結果からは、
真澄が幕府のスパイであったという証拠は見当たらない
ばかりか、以下の3点のことから、真澄は幕府や秋田藩に
疑われるような行動を避けていた
ことが窺える。
@
真澄は厳松山温泉寺について記述しているが、この地区(大館市仁井田)の出身者で過激な思想家であった
安藤昌益については全く触れていない
。
A
真澄の時代は関係者以外坑内に入ることは禁止されていたが、その掟を破って
坑内に入った記録がない
。
B キリシタンに関する記述は全く見られない。
この見解を田口昌樹先生にお聞きしたが、先生も同じように思って居られた。データベースに記録した利点として、キーワードを入力して検索すれば、最新のデータから瞬時に答えを出してくれることである。今後もデータを追加し、いろんなテーマで活用していきたい。
真澄と鉱山データーベース
は
秋田県立博物館の菅江真澄資料センター
のパソコンで検索・閲覧でき、その概要については筆者の
ホームページ
で公開している。(Sept. 19,2012
成田裕一
)
デジアナに思う
デジアナ
とは、
デジタル
と
アナログ
という言葉を組み合わせた造語である。そのまま訳せば、
0
と
1
の組み合わせで表した量(
デジタル
)と、連続した量(
アナログ
)ということになる。よく例に出されるのが腕時計である。時計の駆動部がゼンマイや歯車からなる
機械式ムーブメント
であり、時刻表示を文字盤上の時針でさせるものが
アナログ式時計
である。また、時計の駆動部が電池、水晶振動子、液晶などの部品を用いた、デジタル電子回路から成るものが
クオーツムーブメント
で、時刻を数字で表示させるのが
デジタル式時計
である。
クオーツムーブメント
はデジタル電子回路から成るので、量産効果で大幅なコストダウンが可能である。外見は
アナログ時針
を持ち、機械式のように見せながら、駆動部は低コストの
クオーツムーブメン
トを使用して、装飾に貴金属や宝石などを施した高価な腕時計もある。これは
デジアナ
と言えよう。ところで、先月8日に放送された WBS Weekend で
「デジアナ文具」
なるものが紹介された。この取材に訪れた進藤隆富キャスターが、出されたメモ用紙に雑然と書いた手書き文字(
アナログ
)が、数分後には綺麗な活字文字(
デジタル
)となって表示されるというものであった。文字コードに変換されているので、他のソフトに貼り付けたり、検索文字として利用できる。こんな便利なものがあるなら是非使ってみたいと思ったのだが、その仕組みが紹介されて唖然とした。仕掛けはこうだ。手書きメモはスキャナで画像(
アナログ情報
)として読み取った後、幾つかの断片画像に分割して、インターネットで結ばれている中国の瀋陽にある手入力処理センターに送られ、キー入力スタッフの端末機に配信される。このセンターには400人のキー入力スタッフが登録されており、その内の半数が常時待機していて、日本から送られた断片画像を見ながらその分だけ端末機に日本語入力する。この時点で
文字コード(
デジタル情報
)に変換されるので、これを日本に送り返すというものである。人の力を借りた文字認識、即ち
アナデジ
なのである。市販されているスキャナ装置は、手書き文字の自動認識率がまだまだ低いことに起因している。中国人スタッフは日本語を理解している訳ではなく、一つ一つの文字の形を見て、これと同じ形の文字コードに変換入力させる訓練を受けているようだ。中国人スタッフの月収は、能力によって1万2千円から5万円とのことだが、将来中国人の年収が高くなれば成立しない仕事である。(Aug. 19,2012
成田裕一
)
紛失したポイントカード
先日コンビニで買い物しようと、そのコンビニで利用できる
ポイントカード
を探したが見つからない。とりあえず買い物を済ませてから、書斎を大掃除してみたがやはり見つからない。
ポイントカード
取得の際の申し込み用紙に、
住所、氏名、生年月日、性別、電話番号、メールアドレス
を書いた。これらの情報が
ポイントカード
そのものに書き込まれているのかどうかは解らないが、そのコンビニの顧客情報を記録した
サーバーコンピュータ
には記憶されている筈である。クレジット付きではないので実害が起こる危険性はないと思われるが、置き忘れたことが問題だ。70歳を過ぎた頃から物忘れが多くなったので、防止策として、@ 「決まった所に物を置く」、A 「立ち去るときはその場所と廻りを見回す」、B 「時間に余裕を持って行動する」。この三つに心がけるようになってから、置き忘れは大分少なくなった。老人はできるだけカードなどは持たない方が良いのだが、コンビニで支払いをする度に
「ポイントカードをお持ちですか」
と聞かれるのが煩わしく、発行料金が無料ということもあって所持してしまった。再発行には1200円かかるという。コンビニで買うことは少ないので、そのカードは持たないことにした。そもそもポイントカード
は、購入品、購入時間、利用店など、顧客の利用データをリアルタイムで収集して、顧客の年齢・性別などの個人情報とともに分析して、販売戦略に反映させるために活用されているものである。顧客側としては
ポイントカード
を持ったことで、記録されている個人情報がどの程度安全に保管・利用されているかが心配である。顧客と直接接しているサービス機関の中には、顧客のデータの保存やその処理の業務を、インターネット上のどこかに存在する、情報処理専門業者に代行させているところが多くなった。インターネットを
雲(クラウド)
にみたてて、
クラウドコンピューティング
あるいは単に
クラウド
と呼ばれる。
クラウド
を利用しているサービス機関としては情報処理に要する経費を大幅に削減できるが、顧客にとっては自分の情報がどこに保存されて処理されているかを知ることはできない。2012年6月20日、ある大きなレンタルサーバー会社で、作業ミスのために、同社と
クラウド
契約をしている、5000社以上のデーターが
消失
するという国内最大規模の事故が発生した。データーの
消失
でなく
流出
だったら、雲の中でどのように探せるのか重大な問題である。私が利用したコンビニは無関係のようであったが、顧客と直接関係しているサービス業者は、顧客のデータを安易に
クラウド
に任せないようにして、自社で責任を持って処理して貰いたいものである。(July 19,2012
成田裕一
)
シニアとソーシャル・ネットワーキング・サービス
前々回のこのページのテーマは
「デジタルシニアとデジタルコミニティ」
であった。私は80歳であるが、同年代でパソコンを使いこなしている方々は、ワープロでの文書作成、エクセルなどの表計算ソフトを使って収支決算書の作成、メールの受発信、ホームページの閲覧をされている方が殆どである。しかし、中には
プログ
や
ツイッター
を使っている方も居られる。また、シニア世代には少ないが現役世代の方では
フェースブック
を利用している方が増えている。
プログ、ツイッター、フェースブック
は、いずれもインターネットを利用して多くの人々とコミニケーションを行うことができるということでは
ソーシャル・ネットワーキング・サービス:SNS(Social Networking Service)
の一つと言える。いずれも利用に当たって登録が必要であるが、登録も使用料も無料である。
●プログ(Brog) :Brog
という名称は、Web(インターネット)とLog(記録)からきている。インターネット上に記録を発信させる仕組みである。ITの知識が無くても簡単に自分のホームページが造れ、発信できる仕組みである。ホームページを作成し保守していくためには若干の情報通信技術を必要とし、作成したホームページを24時間運転されているサーバーコンピュータに置いて貰わなければならないので費用もかかる。
プログ
であれば、写真と文を、予め用意されている枠に入力し更新するだけでマイホームページを公開できる。自動的に公開されるので、閲覧した人からコメントを書き込んで貰うことができる。
Google
や
Yahoo
などのインターネットの検索サイトで検索して閲覧もして貰える。
●ツイッター(Twitter) :
ツイッターとはつぶやき
という意味である。日本語(全角)英語(半角)どちらでも、
140
文字以内の文を投稿できる。写真も添付できるのでミニブログとも呼ばれる。
ツイッター
を見た人は、画面上のフォローという釦をクリックすると発信者に伝わり返信を貰える。パソコン、携帯、スマートフォンでも利用できるので災害や緊急時の情報発信にも役立っている。ただし、
ツイッター
は世界中の誰もが見ることができるので失言しないよう気をつけましょう。
プログ
も
ツイッター
も実名でなく匿名で登録できるので他人と気軽に浅いコミニケーションができるので私と同年代の方にも愛好者が居る。
●フェースブック(Face Book) :
は会員制のブログとも言える。共通の目的を持った者同士の情報交換に利用する。原則実名で登録する。ビジネスでの利用が多い。いずれのシステムもインターネットを利用しているのでウイルスの“媒体”になるので、利用するバソコンの
ウイルス対策は万全に
しなければならない。また、登録も利用も無料なので、それらのシステムの設置、運営会社は費用を賄うために、ユーザーのページに
広告が入る
ことを容認しなければならない。(June 19,2012
成田裕一
)
炭鉱に思う
私は昭和29年3月、秋田大学鉱山学部(現在の工学資源学部)の電気科を卒業し、その4月に北海道炭坑汽船株式会社に入社した。最初の赴任先は北海道三笠市にある幌内炭鉱であった。仕事は坑内の電気係であったが、大学を卒業したばかりで実務経験は皆無であったので、最初の一年は現場の電工さんに教わることばかりであった。昭和30年12月には甲種上級保安技術職員と電気保安技術職員の国家試験に合格した。一応名前だけは一人前の坑内係員になったことで、昭和31年4月、同社の万字炭坑に転勤を命ぜられた。この炭鉱は空知炭田の主要炭鉱である、幌内炭鉱と夕張炭鉱の中間にある山奥の小さい炭鉱であった。坑内外はもとより、坑外の変電所、炭鉱事務所、炭鉱住宅の電気設備の設置、故障修理が仕事であった。勤務は三交代制で、朝7時から15時までが一番方、15時から23時までが二番方、23時から翌朝7時までが三番方で、月曜日から土曜日までを一単位として、三番方、二番方、一番方の順にくりかえされる。この勤務形態は昭和35年6月の退職の日まで続いたが、幸い怪我も病気もなく一日も休まずに勤めた。石炭の採掘は主として一番方で行われるので、電気係は採炭現場の仕事は殆ど無く、運搬機械、配水設備、排気設備などの電気機械の保守作業に当たった。二番方が終わる深夜、翌日の採炭に備えて切羽(石炭の採掘現場)に敷設してある長さ100ないし200メートルのチェインコンベヤ(鉄製の鎖で作られた水平エスカレーター)の移設が行われるが、電気係はコンベヤの端に設置されている電動機のケーブルの付け替えと試運転作業を行う。私が作業した万字炭鉱は炭層の厚さは高いところで120センチしかなく、真っ直ぐ立って作業することはできない。ある晩移設作業も終わって坑外で休んでいたとき、切羽に火災が発生したという電話を受け、地下700メートルの現場に急行した。コンベヤの電動機のケーブルが落盤した石に挟まれショートして燃え、払い跡(石炭を採掘し終わった場所)に滞留したメタンガスに着火してしまったのである。火は既に払い跡に堀り残された石炭に着火し、一旦は消えたように見えても、ある程度メタンガスがたまると採掘跡の残り火で再燃焼するという有様であった。他の係員が躊躇する中、私は何度か消火を試みたが、着火して吹き出した炎にまつげが焦がされてしまい、身の危険を感じて現場を撤退た。200メートルにもおよぶ切羽に着いた火は消しようがなく、炭鉱長の判断でこの切羽を水没させることになった。人的事故はなかったが、数億円の損害と聞かされた。もしメタンガス濃度が5%から15%の間であればガス爆発から炭塵爆発となり、坑内に入っていた私を含めて、多数の作業者が死亡したいたであろう思われる。この他、突然の出水のため坑内にある排水ポンプの制御盤の配線を変更しなければならず、丸三日家に帰らず坑内で作業をしたこともあった。この頃になると蒸気機関車に代わってジーゼル機関車が走るようになり、国内の炭鉱は急速に閉山に追い込まれていった。北海道に骨を埋める覚悟で秋田を離れた私であったが、弟が若くして亡くなってしまったのを機に、昭和36に退社し秋田に戻った。衰退してしまった石炭産業であったが、原油高や2011.3.11の震災に伴うエネルギー不足が、北海道の炭鉱を甦させている。釧路の太平洋炭鉱を引き継いだ、釧路炭鉱は坑内堀りで採炭しているが、芦別市、歌志内市、三笠市、美唄市など、いわゆる石狩炭田では露天掘りで採炭している。露天掘りは坑内事故の危険も無く、不採算の薄い炭層でも採掘が可能である。現在採掘した北海道炭は、主として北海道内にある火力発電所に供給され、発電した電力は道内のみならず本州にも送電されていると聞いている。(May. 19,2012
成田裕一
)
デジタルシニアとデジタルコミニティ
デジタルシニア
とは、情報通信機器を使いこなしている高齢者のことである。携帯電話、パソコン、タブレット端末など、現代の情報通信機器には、すべて
デジタルコンピューター
の技術が使われている。私は今年の3月に満80歳になったが、私と同年代の老人達を見回すと、パソコンを文章作成に使っている方は多いが、パソコンをインターネットに接続して、メールやインターネットをされている方は少ない。携帯電話の所有者はかなり多くはなったものの、通話だけに使用される方が多く、メール機能を使っている方は殆ど居らない。中には、
ワープロ専用機
は使っていたがパソコンは苦手という方もかなり居られる。ワープロ専用機も、機械内部はコンピュータなのであるが、2001年までに製造が中止されたこともあり、致し方なくパソコンを買ったという方も多い。ワープロ専用機からパソコンに移行されたシニアの多くは、パソコンのワープロ機能しか使っていない。私の友人で一歳年上のKさんは移行組であるが、ワープロ、表計算、プレゼンテーションソフトはもとより、画像処理もこなし、VHSビデオのデジタル化もしている。彼は、パソコン使用の初日からメールの送受信を習得し、秋田市のホームページに繋いで、テニスコートの予約方法も習得された。インターネットでコンピュータソフトを購入し、ご自分のパソコンに組み込んで利用(ダウンロード)もしている。Kさんは情報通信の専門家でなく、現役時代は市の職員をされた方だが、70歳までパソコンの使用経験は無かった。今、Kさんは自他とも認める
デジタルシニア
であるが、ここまでパソコンを使えるようになったのは、Kさんが好奇心が強く行動的な方であることと、何よりもパソコンの利用目的を明確に持って居られたことである。また、私のような
デジタルシニア
の友人が居たことである。
ワープロ専用機
は
単機能
であるので、使い方を覚えるのは容易であるが、
パソコン
は
多機能
であり、特にインターネットに接続しなければならない、メール使用やホームページの閲覧では、
コンピュータウイルス対策
など、
多様な対処
が必要となってくる。指導者や相談相手が側に居れば良いが一般には難しい。そこで提案で有るが、インターネットに接続できるコミセンなどに、
ワイファイスポット
を設置した学習室を用意し、学習したいシニアが自分のノートパソコンを持ち込み、お互いに情報交換をしながら問題解決をしていく。学習者の中に
デジタルシニア
が居ることが望ましいが、その地域の大学から情報通信技術を持った学生にボランティをお願いする方法もある。
ワイファイスポット(WiFi Spot)
とは、無線で複数のパソコンなどの情報通信機器をインターネットに接続できる装置、既にインターネットに接続できている場所であれば、数千円の設備費で済む。(Apr. 19,2012
成田裕一
)
役立たなかったエンジン発電機
2011年3月11日 東日本大地震
が起こって1年が過ぎた。あの日は金曜日だったので「菅江真澄と鉱山のデジタル記録」の勉強のため秋田県立博物館の地下にある「菅江真澄センター」に居た。私の指導のために、わざわざ来て下さった菅江真澄研究会会長の田口昌樹先生もご一緒だった。私のauの携帯に
「緊急地震警報」
が入って間もなく、ゆっくりした横揺れが起こり、大きな書架がゆっくり横に揺れた。直ちに田口先生と地下の受付まで行った。博物館の職員の方達も居られ、地震が大きな横揺れであったことから、地震が大規模で遠くで発生したものであろうと話し合った。直ぐ田口先生に車で送って頂き、無事帰宅することができた。停電はしていたが、水道とガスは無事だったので、まだ明るいうちにご飯だけでも炊いておこうと、大きな鍋で米を研ぎガスこんろで炊いた。停電はかなり長く続くと考え、暗くなる前に懐中電灯、乾電池、蝋燭を書斎の机の上に置き、夕食後は布団にくるまって寝ることにした。刻々と携帯ラジオから流れる被害のニュースを聞きながら朝を迎えた。お隣のお屋敷から
エンジン発電機
の音が聞こえてきた。そう言えば、我が家でも1999年12月に、出力100ボルト6.5アンペアの
エンジン発電機
を購入したことを思い出し、小屋にある
エンジン発電機
を始動させようとしたが、燃料であるガソリンが古いのか、エンジンは始動しなかった。災害は忘れた頃にやってくるとの戒めを忘れ、定期点検を怠っていたことを恥じた次第である。結局、秋田で電気が回復したのは12日19時、電気の無い生活が28時間続いたが、東日本沿岸地域で被災された多数の方達のことを思えば、一日二日の停電など取るに足らない苦労であった。役に立たなかった
エンジン発電機
であるが、万一に備え整備はしておきたいと思う。ただし
エンジン発電機
には、騒音と排気ガス発生という問題がある。これに対して最近話題になっているのは、太陽光発電パネルからでも、交流100ボルトからでも充電でき、交流100ボルトで供給できる
蓄電システム
である。太陽光発電パネルと蓄電池を組み込んだシステムも既に発売されている。災害時でなくても、日中は太陽光で充電し、夜は室内で消費すれば節電にもなる。前回のこのコラムで述べた
パワーコンデンショナー
に接続すれば売電も可能となる。騒音も発生せず、頻繁な保守も要らないが、充放電回数が多くなると蓄電池が劣化し、交換しなければならない。従来の自動車用に使用されている
鉛電池
に代わり、
ニッケル・水素電池
や、
リチウムイオン電池
など、高密度で高性能の蓄電池が出現している。まだかなり高価であるが、この分野で日本は世界をリードして居り、低価格化が実現すれば再生可能エネルギーの利用に大きく貢献するものと期待される。(Mar. 19,2012
成田裕一
)
”スマート”ということば
最近ス
マートフォン、スマートグリッド、スマートメーター、スマートシティ、スマートハウス、スマートオアシス
など、
”スマート”
が付く言葉が目立つようになった。
スマート
という言葉には賢いという意味があるので、上述の
スマート・・
は、
賢い・・
に置き換えられる。では何が賢いかというと、いずれも電子技術と情報通信技術を取り込んで、対象物をより有効に、より効率的に利用できることであろうか。例えば
スマートフォン
は、フォンすなわち携帯電話を賢くしたものである。携帯電話も
スマートフォン
も、共に通話、メール、インターネット接続の機能があるが、
スマートフォン
の場合はキーボードが無く、画面上の絵を指でなぞらえて使うという操作上の違いと、
アプリ
と呼ばれるコンピュータソフトウェヤを随時入れ替えて多機能な利用ができることである。音楽を聴いたり、小説の文字を拡大させて読んだり、小説を読み上げたりもできる。高齢者でも簡単に操作できる画面を作ることもソフトウェア次第で容易である。自宅療養の患者が、かかりつけの病院と
スマートフォン
を介して連携をとり、病状を知らせたり、病院からの指示を受けたりもできる
アプリ
が既に開発されている。
スマートヘルスシステム
とも言える。
スマートフォン
には
GPS
が組み込まれているので、徘徊老人や移動している車などの位置情報を検知して迅速な対処が可能なシステムも実用化されている。
スマートグリッド
は格子(グリッド)状に配置されてる発電所、送配電設備、電気の需要家を情報通信で結び、安定した電力利用を図るものだ。一般家庭を含む需要家の電気の引き込口に設置されている積算電力計を、リアルタイムで計測してデジタル化して送信できる
スマートメーター
に置き換えて、光ファイバーなどで電力会社と結び、電力会社は需要家の電力の利用状況をリアルタイムで知ることが出来、安定な電力供給が期待できる。電力会社は需要家への給電を制御できるので、発電力が不足した場合でも一斉に停電させる必要が無く、病院や交通信号機などを除いて停電させることも容易となる。太陽光発電などの発電設備を持つ需要家の場合は、引き込口に
パワーコンデンショナー
という設備をすることにより、電力会社に売電も可能である。
スマートオアシス
は、電気自動車の充電スタンドの所在や空き情報を、情報通信技術を介してリアルタイムでドライバーに伝えドライブを支援する。人間生活に貢献する
スマート技術
ではあるが、情報通信技術が基盤になっているので、実用化にあたっては、コンピュータウイルスやセキュリティの問題も克服していかなければならない。(Feb. 19,2012
成田裕一
)
電子書籍作成と自炊
国語辞典で
「自炊」
と引くと
「自分で食事を作ること」
と書かれている。正確に言えば、普段自分で食事を作らない人が、単身赴任などの事情で食事を自分で作ることだと思うのだが、昨年来電子書籍(電子ブック)が話題になってから、
「自分で電子書籍を作ること」
を
「自炊」
と表現されるようになり、このことが著作権を著しく侵害していることが問題になったている。電子書籍制作を業としている
自炊屋
と言われている一部の業者が、客から預かった書籍を解体し、1ページずつばらばらにして高速の電子スキャナで自動的に読み取って電子データとしたものを、
PDF形式
(パソコン、電子ブック端末、スマートフォンなどで読むことができる形式)
の電子ファイルで、一冊数百円程度の手数料を取って客に引き渡している。パソコン、本の切断機、高速電子スキャナさえ設備していれば数十万円程度の費用で商売が可能である。顧客は受け取ったファイルを自分のパソコンで印刷して読んだり、そのまま自分の電子ブックなどで閲覧するのであれば著作権に触れることはないが、このファイルをインターネットに公開したり、あるいし第三者に販売した場合は著作権に抵触する。さらに大きな問題として、
このような方法で電子化したファイルを基に印刷製本して顧客に返したり、あるいは直接販売したりすることが容易になったという問題である。いわゆる
海賊版
が簡単に出来てしまう。著作者や出版社の権利を侵害する重大な問題である。
自炊屋
や、これに依頼する顧客のモラルに頼るしかない。一方、個人が自分の著作物を電子化して、所有あるいは公開することは全く問題ない。私自身の著作物は一昨年から自分で電子書籍化を進め、一部はインターネットに公開している。私と同じ80歳の友人のKKさんはクラシック音楽に憧憬が深く、世界中の作曲家についてその業績などを調査し、100頁を超える記録をしている。KKさんはパソコンを使わないので手書きをされているが、字が綺麗なので私は彼の原稿を預かり、電子書籍作成のお手伝いをしてあげている。自炊屋に頼んでも良いが、パソコンと、それにPDF形式文書作成ソフトさえあれば自分でもできる。2万円程度のスキャナ付きのプリンタの場合は、原稿を1枚づつ手でセットする必要があるが、4万円程度のスキャナ専用機の場合は、毎分20枚以上の原稿を自動で読み取ってくれるし、PDF形式文書作成ソフトも付属している。老人の皆様、お元気なうちにご自分の著作物を電子書籍にして公開しましょう。この世を去ったら、折角苦心して書かれた著作物も、人の目に触れずに埋もれてしまうか、棄てられてしまうでしょう。
(Jan. 19,2012
成田裕一
)
平成23年、秋の叙勲を受賞して
今年の10月26日に文部科学省から速達で瑞宝中綬章が授与されるとの内示がありました。電気・電子・情報技術に関して、学生のみならず社会人の方々と共に永年研究して来れたことが評価されての授章だと思いますが、これも優秀な教え子達に恵まれた上、暖かく見守ってくれました恩師や同僚の方、亡き妻や、家族のお陰と思います。
11月9日
、昔教え子達の仲人用に作ったモーニングを旅行鞄に詰め込んで、インターネット予約5割引の「こまち」で上京し、国立劇場の直ぐ側のグランドアーク半蔵門に一泊しました。
11月10日、
朝からとても良い天気でした。国立劇場大劇場の前には文部科学省の受付が設けられ、ここで皇居に向かうバスの号車番号と座席番号(私は113番)を書いたメモと、文部科学省からのお祝いのカステラを頂き、服に白い大きなリボンを付けて頂いて大劇場に入りました。女性の配偶者の多くは色留め袖姿で受賞者同様のリボンを付けられ、とても嬉しそうでした。家内は3年前に膵臓癌でこの世を去ってしまいましたが、生きていたらここに一緒に並ぶことができたのにと、苦労をかけてしまったことを悔やみました。座席は舞台正面に向かって左から右方向に等級の高い順にに設けられ、それぞれの等級毎に五十音順に前方から後方に向かって設けられていました。配偶者の方は受章者と並んで座られました。
11時40分 伝達式開式
、国歌斉唱、各等級の代表者に勲章伝達、琴で祝賀曲演奏、奥村展三文部科学副大臣から挨拶を頂き、ついで各等級の代表者が挨拶しました。瑞宝中綬章では永田良昭さん(元学習院大学長)が挨拶されました。
12時10分 閉式
。次いで、各等級毎に文部科学省職員から勲記と勲章を頂いて退場し、ロビーで勲章を着用しました。中綬章の場合は首にかける勲章でした。ロビーで同じ秋田から受賞に来られた、父方の従兄弟の成田友治さんと奥様に会うことができ、久しぶりの再会を喜び、写真を撮って頂きました。同じ会場で受賞された、女優の朝丘雪路さんをロビーで見かけた方も居られたようです。
13時30分
予定より遅れて私の乗った5号車が皇居に向かって出発しました。バスが皇居に近づくに連れ、もう少し長く生きてくれたら見せられたのにと、ハンカチで目頭を押さえながら家内の写真を車窓に向けて居りました。坂下門から入り、
13時37分
新宮殿の前の広場に到着
、そのままバスの中で待機しました。バスで私の隣席に座られた先生もお一人でしたが、奥様は事情があって同伴されなかったということでした。そう言えば、伝達式の会場でも奥様を同伴されない受章者が沢山居られました。女性の平均寿命は男性より長い上、奥方は年下の方が多いと思いますが、女性の方が脚の不自由な方が多いのかも知れません。
14時50分
バスを下車、バス5台分の授章者が6列に、配偶者が3列に並んで長和殿の春秋の間に入りました。春秋の間は横長の大広間で、正面に陛下がお立ちになられる台があり、その前に受章者が、その後ろには配偶者が並びます。従って6列で入室した第一列の方が一番前に並ぶことになります。順番はバスの号車に関係なく、早い者勝ちでした。
14時50分
お風邪で休養されて居られる天皇陛下に代わって、皇太子殿下が入室され、正面の台に立たれて陛下のお言葉を代読された後、受章者の前と配偶者の前を、それぞれの功労をねぎらうがごとくゆっくり歩かれ
14時52分
ご退室されました。この後別室に案内され、バスの号車毎に記念撮影が行われました。5号車は受章者16名、配偶者11名でした。天皇陛下からは皇室アルバムとお菓子が下賜されました。お菓子は菊のご紋を焼き付けた大きいどら焼き3個で、黒餡が入った美味しいものでした。人生の最後に皇居を見ることができましたが、ヨーロッパの宮殿と違って華美でなく、その簡素で重厚な佇まいの中に身を置くことができ感激して参りました。
15時40分
バスは皇居を去り、東京駅まで送って頂き、夕方の「こまち」で帰秋しました。
(Nov. 19,2011
成田裕一
)
黒革のセカンドバッグ
2004年10月14日、パソコンのお弟子さでもある友人ご夫妻と私達夫婦四人で、秋田県北の阿仁方面に一泊旅行したときのことである。森吉山の登山口まで乗ったゴンドラから観る風景は、正に紅葉真っ盛りでとても美しかった。ゴンドラ頂上駅近くの展望台で記念写真を撮り、山頂の見えるところまで登って、南、西、北に広がる壮大な紅葉パノラマ見て下山したのだが、そこで待ち構えて居られた森吉山の巡視員の方に呼び止められ、
「バッグをお忘れでないですか」
と声を掛けられ、初めて忘れたことに気付いた。正に、先月の
「老人とリフレッシュサイクル」
の中で書いた
「忘れたことさえ思い出せなくなる」
そのものである。バッグにはキャッシュカードの他、メモリなどが入っていた。メモリには、これまで長い間私が製作したプログラムの
ソースコード
を記述したファイルが入っていた。
ソースコード( Source Code
)とは、コンピュータで使用者が実際に使うプログラム(
実行プログラムという
)を生成させるためのプログラムである。例えばパソコンには、文章を書くために良く使われている、マイクロソフト社製の
ワード
という実行プログラムが入っている。これを、使い勝手が悪いからプログラムを修正しようと思っても、マイクロソフト社の関係社員でなければ簡単には修正できない。私は自分が作製したプログラムの
ソースコード
を記録したファイルは、家が火災にあって開発用のパソコンが消失しても困らないように、いつでも持ち歩いている。プログラマーにとっては、家族についで大事なものである。その巡視員の方は私たちが下山するまで展望台で待っていてくれた。大変感謝したが、忘れていたことに大きな衝撃を受けた。その後もこのバッグを何度か置き忘れたことがあったが、その都度運良く私の手元に帰って来た。このバッグは今も毎日持参しているが、不思議なことに材質と縫合が確りしているのか、皮製の外観も、内側の布製の仕切りも、チャックも全く痛んでいないのである。羽田空港のJAS(現在はJALに統合)のショップで買い求めたものである。2001年のロンドン旅行にも、2004年のサンフランシスコとシアトルの旅行にも持って行った。バッグの表面には、
HARDY AMIES Lomdon
という文字が刻まれている。亡き家内は、「あなたはいつもそればっかり大事に持って歩くのね」と呆れていた。置き忘れても不思議と戻ってくれるこのバッグを、今後も大事にしていきたい。80歳近くにもなると、
「忘れたことさえ思い出せなくなる」
ことが多くなってきた。このバックを持って移動するときは、落ち着いて必ず身の周辺を確認してから立ち去るように努力している。(Oct. 19,2011
成田裕一
)
老人とリフレッシュサイクル
私は50代半ばまで手帳があっても利用することは少なかった。
リフレッシュサイクル
がとてつもなく長かった。
リフレッシュサイクル
とは、記憶が失われる前に再記憶ををさせるまでの時間のことである。しかし、60代、70代と年を経るとともに、記憶を保持できる時間が短くなり、79歳の今は何も対策しなければ数分しか記憶を保持できなくなった。つまり
リフレッシュサイクル
がとても短くなった。ちなみに、パソコン内部にも使用されている、
DRAM(デーラム)
と言われるメモリは記憶保持動作が必要な記憶素子で、1ビット(1と0のデジタル信号)の記憶を保つために、数マイクロ秒毎にリフレッシュをさせている。この時間は
DRAM
の進歩につれ短くなっている。人間の脳はコンピュータとは記憶の仕組みが全く異なることもあって、高齢になるほど
リフレッシュサイクル
が短くなる。さらに短くなると、忘れたことさえ思い出せなくなる。こうなると認知症などの病気ということになる。認知症でなくても、高齢化に伴って忘れやすくなり、人との約束を守れなくなったり、大事な物の紛失などの実害につながる。そこで対策であるが、忘れてはいけないことを手帳や紙に書いて、それを見て思い起こさせたり、伴侶が元気でいればお互いの対話によって記憶をリフレッシュさせることも出来る。家内が生きていた頃は、対話の中でお互いの記憶の違いを突き合わせながらリフレッシュが出来ていた。独りになった今は、自宅ではパソコンを、外出先では電子ブックiPadを携帯し、忘れてはいけないことや、グーグルやヤフーなどの、インターネット検索サイトで調べたことを、その場で直ぐ記録して、機械依存の記憶リフレッシュをしている。間接的ではあるが電子記憶機器の操作が脳に良い刺激を与えてくれている。人間の脳の神経細胞の数はほぼ140億個(140×10の8乗個)と言われている。ちなみに、現在市販されている高性能のパソコン内部のDRAMは2〜16GB(ギガバイト)なので、ビット数では、16〜128×10の9乗個となる。脳と電子メモリとでは記憶の仕組みが違う。脳の場合は連想検索や曖昧検索ができるが、コンピュータのメモリでは、必ずアドレスがつけられているので、電気信号で瞬時に記憶を読み書きできる特徴を持っている。秋田市雄和に工場を持つているエルピーダメモリは、この春半導体に直接電極を埋め込んだ立体構造の新型
DRAM
を製造し、サンプル出荷を世界で初めて開始したが、こうした超小型高集積の立体メモリーが人間の脳に組み込めるようにな時代が来れば、生きている間は物忘れしないとか、認知症の治療などに貢献できることになるかも知れない。国内外の脳科学者などが既に取り組んでいるテーマでもある。(Sept. 19,2011
成田裕一
)
アナログテレビの終焉に思う
平成23年7月24日にアナログテレビ放送は終焉を迎えることになった。昭和33年、私は北海道空知郡万字炭鉱で電気技術者として働いていた。生まればかりの長男に、当時始まったばかりの札幌からのテレビ放送を見せてやりたいと思ったのだが、14吋の
ブラウン管式白黒テレビ
は20万円近くもしたので、炭鉱マンの収入が高かったとはいえ購入は無理であった。大卒の公務員の初任給が1万円を少し超える程度の時代である。そこで私は
白黒テレビ組み立てキット
を買うことを決め札幌まで出かけた。購入したのは
スター14T171
という機種で、価格は3万円近くであった。筐体、ブラウン管、14本の真空管他、必要な部品は全て入っていて、これを大きな風呂敷で包んで背負い、汽車に乗って持ち帰った。国鉄万字炭山駅から社宅までは数十米の急な上り坂があるのだが、きつかったという思い出は無い。大学では電気工学は良く勉強したものの、電子回路やテレビジョン工学を学ぶ機会が無かったので、誠文堂新光社が発行した
「テレビサーピステキスト−原理からサービスまで−」
を読みながら数日かかって製作した。何度も誤配線の有無を調べた後恐る恐るスイッチを入れた。何やら動きのある映像が映っているものの、視聴には耐えられないものであった。アンテナは手作りの八木アンテナである。素子は廃材となった炭鉱の坑外電車に給電するトロリー線(銅製)を利用した。アンテナを社宅の前に設置したが、何せ山奥で札幌から50Kmも離れている。そこで、社宅の裏にある高さ数十米の
ズリ山
(石炭を選別した際排出される石を捨てる所で、九州では
ぼた山
と言った)の頂上に立てた結果、多少スノーノイズはあるものの、何とか視聴できた。ベンチに座っている楠トシエさんが画面に出てきたときは感動した。近所にテレビのある家は無かったので、息子は近所の子供達と大喜びで観ていた。この頃の白黒テレビの放送方式は、この度終了するアナログ放送と同じ
AM(振幅変調)
放送方式である。撮像管の画面の画素の明暗を電気信号の振幅(大きさ)に変え、それを電波周波数の振幅に変えて送信する。
地上デジタル放送
の出現でその役割を終えることになり、時代の流れを大きく感ずる。デジタル放送では、映像信号と音声信号を電気信号の振幅(大きさ)に変えるところまでは同じであるが、これらの信号を
符号化
(1と0の二進符号に変える)してから送信するので、送信に大きな電力と広い帯域の電波を必要としない、ゴーストや反射のない受信ができる、電車や車などの移動体の中や携帯電話でも安定した受信ができる、データ放送ができる、電話やLANの併用で視聴者の放送参加ができるなどの特徴がある。受信機の中でも当然デジタル信号に変換されるので、高画質のデジタル記録ができ、それをLAN接続したiPadやスマートフォンなどの携帯機器で視聴できる。ただし、テレビも携帯機器も、コンピュータ技術進歩の産物、老いの身では使いこなすのが大変である。(July 19,2011
成田裕一
)
節電に思う
2011年3月11日の東日本大地震のあった夜は、暖房をとれず毛布と布団にくるまって夜を過ごした。我が家の暖房は灯油ボイラーで温水を巡回させる方式なので、停電になるとボイラーが停止してしまうからである。幸いガスは屋外にあるプロパンのボンベから供給され、潟上市の水道も給水されていたので、明るいうちに鍋で飯を炊いて夕食はできた。照明は家内が亡くなったとき沢山頂いた蝋燭を灯した。我々昭和一桁生まれにとっては久久の待望生活であった。私が中学2年から高校3年にかけて電力事情がきわめて悪かった。現在東日本の家庭に供給される電気は電圧が100ボルト、周波数は50ヘルツ(西日本は60ヘルツ、昔はヘルツでなくサイクルと言った)に正確に保たれているが、その頃は電圧が85ボルトくらいまで下ったり、周波数の変動もあった。その頃の発電は主として水力に頼っていたし、一般家庭では電気を消費するのは白熱電球だけであったので、電圧が下がっても照明が暗くなるだけで生活に支障を来すことはなく、モーターも殆ど使用されていなかったので周波数が若干下がっても支障はなかった。我が家は勿論、多くの庶民の家庭には扇風機は無かった。夏の暑い日は、日中は団扇片手に汗をふきふき勉強し、夜は窓を開け放して蚊帳に入り、畳に布団も敷かず直に寝ることが多かった。停電になると我が家では蝋燭ではなく、菜種油のランプを灯した。冬の暖房は炭火炬燵であった。このような我慢の時代に戻れば停電など怖くはないが、現代は質の良い電気が安定供給されなければ、殆どの家電製品は正常に動作しないので仕事も生活も成り立たない。白熱電球だけであれば、電圧を下げて供給すればそれだけで節電になるが、現代はテレビはもとより照明器具にいたるまで電子回路が組み込まれているので、電圧が下がれば正常に動作しない。そこで節電ということになり、不要な照明をこまめに消すとか、エアコンの設定温度を下げるなどいろんな提案がされている。こうした提案に従って節電に心がけることは当然であるが、自分が使った覚えのない電力消費がないかを調べることも大事である。調べる方法は積算電力計の円盤の回転数を計れば良い。例えば32型の地デジ液晶テレビだけを使用した場合は、円盤の回転数は10分間で40回転程度である。そこで、家中のすべてのコンセントから電気機器の電源ケーブルを引き抜き、10分間だけ積算電力計の円盤の回転数を計ってみる。積算電力計は大概屋外にある。積算電力計の見方はこちら(
http://www.ndbs-ahps.jp/narita/a13/power.htm
)を参考にされたい。これで積算電力計の目盛りに動きあった場合は、どこかにを気づかない待機電力(テレビなどリモコンでスイッチを切ったつもりでも、直ぐ起動できるようにさせるための電子回路に通電されている)などの電力消費か、漏電があるかも知れない。きちんと調査して無駄な電力を消費しないようにしましよう。(May 19,2011
成田裕一
)
大震災に備えて情報データは遠隔地にも保管しよう
東日本大地震で一瞬のうちに尊い命を奪われました多数の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
この大震災では多くの建築物も被害に遭ったが、建築物の中に設備されていたコンピュータも大きな被害を受けたものと思われる。その多くが津波に浸かったと思われるが、塩水に浸かった電子機器は大方使用不能になる。磁気ディスクも真水で洗浄すれば記録内容を復活できるものもあろうが多大な費用がかかる。市町村などの公的機関や、大企業の場合は、情報処理システムやデータを置くサーバーコンピュータを自分のところに置かず、クラウドに置いて災害による情報の消失に備えているところもある。クラウドとは、主として大規模情報処理会社が安全性のきわめて高いサーバーコンピュータを設備し、これにインターネットで繋いだ顧客の情報処理システムやデータを保存して、顧客はこれに簡単な端末機を接続して利用するものである。顧客にとってそれがインターネット上のどこにあるかわからないのでクラウド(雲)と呼ばれる。個人情報を預けるということで不安を持たれる場合もある。クラウドのセキュリティシステムは限りなく安全と言われるが、クラウドを保守しているのは人間であるので100%安全とは言えないかも知れない。また、クラウドの利用は有償であるので、予算を計上できない小規模の機関や、個人の場合は自前で情報データをバックアップしなければならない。多くの人はバックアップしたメデア(ハードデスク、USBフラッシュメモリ、CDROM、DVDROM、フロッピーディスクなど)を仕事場の中に保管するので、今度のような大震災で仕事場が被災した場合は助からない。そこでクラウドに頼れないユーザーに、情報を記録したメデイアを遠隔地に保存されることを提案したい。少し情報技術を持っている遠隔地のパートナーと電子情報を相互に保管することにより、大震災による情報喪失を防ぐことができる。保管は自分のところと、例えば東北の機関は関西の機関にというように、同時震災の危険の無いところの信頼できる機関、あるいは友人などの間で相互に遠隔地保管をしておくことである。また、情報は随時追加・訂正・削除が行われるので、定期的に更新した情報を入れ替える必要がある。バックアップに用いるメデアは、現時点ではUSBフラッシュメモリが良い。大きさは印鑑程度である。私が常に所持しているUSBフラッシュメモリは8ギガバイト(8GB)の容量なので、漢字換算で40億文字記録できる。現在の価格は2千円程度である。私はある同窓会の2万4千人の会員情報(個人情報と80年分の会費納入情報などを記録)を暗号化して保存している。会員一人の情報量は1200バイト(漢字で600文字)なので、この量であれば8ギガバイトのUSBフラッシュメモリ一個に、67万人の情報を記録できることになる。USBフラッシュメモリの短辺の幅は18ミリで小さいペットボトルの口径より小さいので、メモリを乾いたペットボトルに入れて、きっちり蓋を閉めれば浸水の恐れもない。ところで、この度の大震災の直後、被災地に住まれている戦友会の幹事の方が戦友会の名簿を津波で失ったというニュースが流れた。戦友会の方であれば年齢的にパソコンを利用されない世代と思われるが、お子さんやお孫さんにお願いして、名簿は是非パソコンに記録され、USBフラッシュメモリにバックアップをとって遠隔地の戦友に預けて置かれたら良いと思う。(April 19,2011
成田裕一
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マイクロフィルムのデジタル化
高校の同窓会新聞に高校時代の思い出を書くことになり、秋田市立高校チームの駅伝選手として走ったときの新聞を見ようと秋田県立図書館に行った。見たいのは昭和24年10月の秋田魁新聞である。日にちは正確に覚えていない。図書館の職員の方が全県駅伝というキーワードで検索してくれ、高校駅伝のあった日は16日(日)で掲載記事は17日の朝刊ということがわかった。秋田魁新聞の記事は2004年10月以降であれば有料で閲覧できるが、それ以前の紙面全体はすべてマイクロフィルムのみに記録されている。昭和24年10月16日のフイルムを貸しくれたのでマイクロフィルムのビューワー(読み取り機)で閲覧した。紙面の半分くらいは明瞭に読めない状態であった。拡大した場合は、その記事についてある程度の知識があれば不鮮明部分を読むことは可能であった。私が走ったのは第六区(刈和野、羽後境間12K)で、3位で受けて3位で継いでいたことがわかった。長年、2位で受けて2位で継いでいたと思っていたので調べて良かった。この度の調査で古いマイクロフィルムのデジタル化はかなり困難であろうと思った。マイクロフィルムをデジタル化する専用のスキャナでスキャンし、画像データに変換すること自体は容易であり、作業の自動化も可能である。しかし画像データでは、キーワードを設定して目的の記事を検索することは容易ではない。記事の検索を可能にするためには、紙面をスキャンしたデータをさらに、OCR(Optical Character Recognition)でデジタル化すなわち文字コードに変換しなければならない。デジタル化をしておけば、パソコンでの検索が容易となり、保存性も格段に良くなる。たとえば、デジタル化した記事を今流行のクラウドシステムに保存・管理しておけば、どこからでもパソコンで記事を閲覧、検索が可能となる。しかし、保存状態の悪いマイクロフィルムでは文字認識率が低くい。文字認識率が100%でない限り、広い常識を持ったオペーレーターによる、照合のための手作業が必要となる。これには膨大な人件費が必要となる。劣化が進んでいるマイクロフィルムの早急なデジタタル化を望みたい。(Feb. 19,2011
成田裕一
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老人とファックス
私の家ではNTTと光電話の契約をしているので、インターネットと電話2回線が利用できる。電話2回線のうち1回線は通話専用の電話に、もう1回線はファックスに接続している。ファックスは自分から使うことはなく、インターネットのメールが使えない相手との文の送受に使う。一番使うことの多い相手は高校や大学時代友人である。年齢は私と同じ80歳前後である。先日、友人の情報を同窓会のホームページに紹介することになり、その友人に情報の提供をお願いした。パソコンは所有しているが、インターネットには繋いでいないということでファックスで送って頂いた。届いたファックスの文面はA4一枚にワープロできれいに書かれたものであった。私は思った。もしこの友人のパソコンがインターネットには繋がっていて、メール添付でワープロのファイルを送ってくれたら、受信してから手間暇かけずに、返信メールの送信も含めて、数分でホームページに載せることができるのにと思った。受信したファックスを読みながら私のパソコンに手入力するのも面倒だし、転記ミスも生じてしまうので、ファックスの文面をスキャナで読み取らせてみた。しかし認識率が80%くらいであったので、1文字でも間違ったら大変と修正に数十分もかかった。私はコンピュータのシステムやプログラムを考えたり作成することは得意だが、文章やデータをパソコンに入力するのは苦手で、ストレスがたまってしまう。この友人に限らず、私の友人の多くはパソコンを持っていてワープロは使いこなしているのに、パソコンのメールを使っている友人はきわめて少ない。これにはパソコンを製造している側にも問題がある。パソコンをインターネットに接続した場合、コンピュータウィルスの侵入を防ぐため、パソコンの基本プログラムを提供しているメーカーから頻繁に基本プログラムの修正を強いられる。日本のパソコンの多くは、基本プログラムにマイクロソフト社のWindowsが使われているので、いわゆる Windows Update という作業が必要である。この作業は、現在販売されている基本プログラムのマイクロソフト社のWindows7ではかなり簡単になったが、一つ前のWindows Vistaでは Windows Update の作業に数十分もかかることがある。 Windows Update を毎日自動で行う設定にした場合は、これから外出しようとしたときにWindows Update が始まってしまい、大変困る場合も起きてしまう。こんな作業を必要としない堅牢な基本プログラムを開発してほしいものである。しかし、パソコンの基本プログラムを最新なものにし、ウィルス駆除のソアトも動作させておいても迷惑メールが入って来ることがある。ただし迷惑メールは、ネットショッピングやダウンロード作業(インターネットから音楽ファイルやプログラムなどを自分のパソコンに取り込む作業)を行わなければ入って来ない。どうかパソコンでワープロを使いこなしている老人の皆さん、怖がらずに、パソコンをインターネットに繋ぎメールを使ってみよう。皆さんが作成した文書ファイルをメールに添付して送れば、ご自分が書かれた文書が100%正確に相手に届くので、相手に負担をかけることもなくなる。また、その文書を費用をかけずに電子ブックににして貰うことも簡単になる。以前「老人とIT」で紹介した大学同期のFKさんは、現在もご自分の仕事や地域の仕事にパソコンをフルに活用し、メールのファイル添付も使いこなしている。(Jan. 17,2011
成田裕一
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